げんのしょうこ (現の証拠) 

学名  Geranium thunbergii (G.nepalense subsp. thunbergii, G.nepalensis f.roseum)
日本名  ゲンノショウコ
科名(日本名)  フウロソウ科
  日本語別名  ミコシグサ(神輿草)、フウロソウ(風露草)、タチマチグサ、ツルウメソウ、ウメヅル、ベンジョクソウ、イシャイラズ(イシャコロシ・イシャタオシ・イシャナカセ)、コウボウグサ、クチベシ、センニンタスケ、アカハラグサ、セキリグサ、センブリ
漢名  中日老鸛草(チュウジツロウカンソウ,zhōngrì lăoguàncăo)
科名(漢名)  牻牛兒苗(ボウギュウジビョウ,mángniúérmiáo)科
  漢語別名  老鸛草・東亞老鸛草、五葉草、五瓣草、鐵燈碗、紫地楡
英名  

2022/03/25 薬用植物園 

  ベニバナゲンノショウコ f. thunbergii
        2009/08/23 岐阜県大野郡白川村

2023/10/12 植物多様性センター 
 ここには赤花株と白花株が混在するが、栽培に由来するのであろう 

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以下はシロバナゲンノショウコ f. pallidum

  2008/08/08 さいたま市田島が原

2010/08/22 富山県魚津市(片貝川流域) 
2008/08/29 群馬県 浅間高原

2008/10/09 埼玉県入間市宮寺

2008/10/30 埼玉県入間市宮寺

2008/08/28 長野県湯ノ丸高原

 フウロソウ科 Geraniaceae(牻牛兒苗 ボウギュウジビョウ,mángniúérmiáo 科)には、世界に5属 約750-800種がある。

  Biebersteinia(熏倒牛屬)
 アジアの温帯に約4種 
    B. heterostemon(熏倒牛)
    B. multifida(多裂熏倒牛)
    B. odora(高山熏倒牛)

  オランダフウロ属 Erodium(牻牛兒苗屬)
 約75-90種 
    ツノミオランダフウロ
(ナガミオランダフウロ) E. botrys
    オランダフウロ E. cicutarium(芹葉牻牛兒苗)
         北アフリカ・歐亞温帯産 日本には明治初から帰化
    ミツバオランダフウロ E. crinitum
    E. hoefftianum(長喙牻牛兒苗)
    ジャコウオランダフウロ E. moschatum
 地中海地方・オリエント原産 1950s三重県に帰化 
    E. oxyrhinchum(尖喙牻牛兒苗)
カフカス・小&中央アジア・新疆産 
    キクバフウロ E. stephanianum(Geranium stephanianum;
        牻牛兒苗・太陽花・長嘴老鸛草・老鸛草
        勾鏈鏈・車車路・綿綿牛・狼巴巴草)
        
中央アジア・カシミール・ヒマラヤ・漢土・モンゴリア・シベリア産 
    E. tibetanum(短喙牻牛兒苗)
チベット産 

  フウロソウ属 Geranium(老鸛草屬)

  テンジクアオイ属 Pelargonium(天竺葵屬)

     
 フウロソウ属 Geranium(老鸛草 ロウカンソウ,lăoguàncăo 屬)には、世界に約400-430種がある。

  G. argenteum アルプス・北アペニン原産
  G. batangense(巴塘老鸛草)
  アメリカフウロ G. carolinianum(野老鸛草・鷺嘴草;E.Carolina geranium)
        
河南・江蘇・浙江・江西。『中国雑草原色図鑑』122
  G. cinereum(灰色老鸛草) ピレネー・アペニン原産
  ダフリアフウロ G. dahuricum(粗根老鸛草・塊根老鸛草)『中国本草図録』Ⅸ/4207
         朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・東シベリア・極東ロシア産
    ハクトウフウロ var. alpinum(G.dahuricum var.paishanense)
  G. delavayi(五葉老鸛草) 
四川・雲南産 『雲南の植物』132
  オトメフウロ G. dissectum
  G. endressi ピレネー原産
  チシマフウロ G. erianthum(G.subumbelliforme;東北老鸛草・千島牻牛兒苗)
    シロバナノチシマフウロ f. leucanthum
    トカチフウロ f. pallescens
    ホソバノチシマフウロ var. angustifolium
  G. eriostemon(毛蕊老鸛草) 
遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・湖北・四川。『中国本草図録』Ⅲ/1230
  G. farreri(圓柱根老鸛草)
  G. forrestii(曲嘴老鸛草) 『中国本草図録』Ⅷ/3670
  ニイタカフウロ G. hayatanum(G.suzukii var.hayatanum)
  G. henryi(血見愁老鸛草)
 『中国本草図録』Ⅶ/3188
  ヒダフウロ
(イブキフウロ・サクラザキフウロソウ) G. hidaense(G.yesoense var.hidaense)
         
本州(群馬・長野・岐阜・滋賀)産
  オオミツバフウロ G. knuthii
  コウライフウロ G. koraiense
    タンナフウロ var. chejuense
  チョウセンフウロ G. koreanum(朝鮮老鸛草)
         
朝鮮・遼寧・山東・極東ロシア産 『中国本草図録』Ⅴ/2172
  タチフウロ G. krameri(突節老鸛草)
 『中国本草図録』Ⅲ/1231
    フシゲタチフウロ f. adpressipilosum(G.sieboldii, G.japonicum
         f.adpressipilosum)
  G. lambertii(吉隆老鸛草)
チベット・ヒマラヤ産 『雲南の植物』133
  カンボウフウロソウ G. lasiocaulon
  G. linearilobum(G.transversale;球根老鸛草)
中央アジア・新疆産 
  G. maximowiczii(興安老鸛草) 黒龍江・吉林・内蒙古産 『中国本草図録』Ⅹ/4674
  ハマフウロ G. miyabei(G.yesoense var. pseudopalustre)
  ヤワゲフウロ G. molle(軟毛老鸛草;Dove's-foot crane's-bill)
  G. napuligerum(蘿蔔根老鸛草) 『中国本草図録』Ⅷ/3671
  G. nepalense (尼泊爾老鸛草・老鸛草・短嘴老鸛草・牻牛兒苗)
         
タイ北部~ヒマラヤ産 『中国本草図録』Ⅱ/0642
  G. onoei
    ウスゲグンナイフウロ var. glabrescens
    ウラジロフウロ var. hypoleucum(G.eriostemon var.hypoleucum)
    var. onoei
      シロバナグンナイフウロ f. albiflorum(G.eriostemon var.reinii f.albiflorum)
      タカネグンナイフウロ f. alpinum
      グンナイフウロ f. onoei(G.eriostemon var.reinii, G.reinii;高嶺老鸛草)
      エゾグンナイフウロ f. yezoense(G.eriostemon var.reinii f.yezoense)
         
北海道(中央高地)産
  G. paishanensis(長白老鸛草)
  クロバナフウロ G. phaeum
  コグンナイフウロ G. platyanthum(G.eriostemon;毛蕊老鸛草)
  G. platypetalum(寛瓣老鸛草) コーカサス原産
  ノハラフウロ G. pratense(草地老鸛草)
 歐亞温帯産 
  G. pseudosibiricum(藍花老鸛草)
東歐・ロシア・中央アジア・モンゴリア産 
  ヤサカフウロ G. purpureum
  チゴフウロ G. pusillum(矮老鸛草;Smallflowered crane's-bill)
  G. pylzowianum(甘靑老鸛草・賈貝)
陝甘・青海・四川・雲南産 『中国本草図録』Ⅵ/2696
  ピレネーフウロ G. pyrenaicum(Hedgerow crane's-bill)
  G. refractum(G.refractoides;反瓣老鸛草・紫萼老鸛草)
        
四川・雲南・チベット産 『中国本草図録』Ⅷ/3672
  ヒメフウロ
(シオヤキソウ) G. robertianum(纎細老鸛草・猫脚印・石巌酸角草)
  マルバフウロ G. rotundifolium
  アケボノフウロ G. sanguineum(血紅老鸛草) ピレネー・アルプス原産
  G. shikokianum 
    カイフウロ var. kaimontanum(G.kaimontanum) 山梨縣三つ峠産 
    ヒメイヨフウロ var. quelpaertense
    イヨフウロ
(シコクフウロ) var. shikokianum 本州(東海以西)・四国・九州産 
    ヤマトフウロ var. yamatense 奈良県大峰山産 
    ヤクシマフウロ var. yoshiianum(G.yoshiianum)
屋久島産 絶滅危惧IA類(CR,環境省RedList2020) 
  イチゲフウロ G. sibiricum(G.sibiricum var.glabrius;
        鼠掌老鸛草・西伯利亞老鸛草・風露草)
        
北海道・青森・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・湖北・四川・西藏・極東ロシアから、
        中央アジアを経てルーマニアまで産 『中国本草図録』Ⅱ/0643
  G. sieboldiii(突節老鸛草)
  G. sinense(G.platypetalum;中華老鸛草)
四川・雲南産 『週刊朝日百科 植物の世界』3-164
  アサマフウロ G. soboliferum
    アサマフウロ var. hakusanense(G.hakusanense)
    ツクシフウロ var. kiusianum(G.kiusianum)
九州(九重山・阿蘇山)産 
    ホソバアサマフウロ var. soboliferum
  G. strictipes(紫地楡)
四川・雲南産 『全國中草藥匯編 上』p.345
  タイワンフウロ G. suzuki(黃花老鸛草)
臺灣産 
  ゲンノショウコ G. thunbergii(中日老鸛草)
    シロバナゲンノショウコ f. pallidum
    ベニバナゲンノショウコ f. thunbergii
  G. transhaicalicum(大花老鸛草) 『中国本草図録』Ⅸ/4208
  コフウロ G. tripartitum
    コフウロ var. tripartitum
本州(山形宮城以南)・四国・九州・済州島産 
    ホコガタフウロ var. hastatum(G.hastatum, G.wilfordii var.chinense)
栃木・群馬産
  G. tsingtauense(靑島老鸛草) 『中国本草図録』Ⅶ/3189
  G. vlassovianum(毛老鸛草)
  G. wilfordii
    タカオフウロ var. chinense
    ケミツバフウロ var. pilicalyx
    ミツバフウロ
(フシダカフウロ) var. wilfordii(老鸛草・鴨脚老鸛草)
        北海道・本州・四国・九州・朝鮮・臺灣・華東・兩湖・四川・陝甘・華北・
        ・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産 『中国本草図録』Ⅶ/3190
    エゾミツバフウロ var. yezoense
  ビロードフウロ G. wlassivianum(灰背老鸛草)
  エゾフウロ G. yesoense (沙頭老鸛草・金山老鸛草) 四川
    イブキフウロ var. lobato-dentatum
    ハクサンフウロ var. nipponicum(G.yesoense f.lobulatum)
    エゾフウロ var. yesoense(G.yesoense var.lobatodentatum, G.yesoense
         var.pseudopratense)
  ビッチュウフウロ G. yoshinoi
本州(長野南部・東海・近畿北部・中国)産
  G. yunnanense
四川・雲南産 『雲南の植物』133
    
 「藥草ニシテ乾葉ヲ煎ジ下痢止ノ藥トシ有名ナリ、而シテ直ニ効アリト唱ヘ現の證據ノ稱アリ、又其果實ノ彈開セル狀みこし(輿)ノ屋根ニ似タルトテ其名アリ。世間之レヲふうろさう(風露草ト書ス、漢名ニ非ズ)ト呼ブハ非ナリ、是レハ伊吹風露ノ一名ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。なお、伊吹風露はヒダフウロ(イブキフウロ・サクラザキフウロソウ) G. hidaense。
 猫足草の名は、葉の形から。
 『倭名類聚抄』牛扁に、「和名太知末知久佐」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』牛扁の条に、「ゲンノシヤウコハ 一名ホツケサウ ホツケバナ
木曾 レンゲサウ ミコシグサ長州 サクラガハ江戸 フウレイ江州 フウギク種樹家 ネコアシ仙台 ベニバナ城州岩倉 冬ノウメ越後 チゴグサ上州」と。
 漢名の老鸛(ロウカン,lăoguàn)は コウノトリ。
 科名の牻牛(ボウギュウ,mángniú)とは、黒白まだらのウシ。
 学名の geranium は、ギリシア語の「小さい鶴 granion」から。実の形をツルの嘴になぞらえて。
 なお、英名を geranium、日本でもゼラニウムと呼ばれる園芸植物は、フウロソウ科テンジクアオイ属 Pelargonium のうち観賞用に栽培するものの総称。かつての属名 geranium が、園芸上今日も通用しているため。
 ゲンノショウコは、日本全国に分布し、西日本には花が紅紫色のものが、東日本には白いものが多い。
 1941の記述に、九月に武蔵野にさく花として「ゲンノショウコの白い花」とある(『武蔵野』)。

 
筆者(嶋田)の記憶では、1950年代長野県東筑摩郡波田村(現松本市波田町)の夏の田の畦には、ゲンノショウコが一面にさいており、その花の色はみな赤かった。 
 日本・臺灣・福建・浙江・湖南に分布。
 中国では、近縁植物のうち次のものの全草を老鸛草(ロウカンソウ,lăoguàncăo)と呼び薬用にする(○印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.79-84 『全國中草藥匯編 上』pp.330-332 『(修訂) 中葯志』IV/326-331

  〇キクバフウロ Erodium stephanianum(Geranium stephanianum;
         牻牛兒苗・老鸛草・老鸛嘴・太陽花・狼巴巴草)
   アメリカフウロ Geranium carolinianum (野老鸛草・鷺嘴草)
   ダフリアフウロ Geranium dahuricum (塊根老鸛草・粗根老鸛草)
   コグンナイフウロ Geranium eriostemon(毛蕊老鸛草)
  〇Geranium nepalense (尼泊爾老鸛草・老鸛草・短嘴老鸛草)
   ヒメフウロ Geranium robertianum (纎細老鸛草・猫脚印・石巌酸角草)
   Geranium sibiricum(鼠掌老鸛草・西伯利亞老鸛草・風露草) 
  〇ミツバフウロ Geranium wilfordii(老鸛草・鴨脚老鸛草)
   エゾフウロ Geranium yezoense (沙頭老鸛草・金山老鸛草)
    
 日本では、生薬ゲンノショウコは ゲンノショウコの地上部である(第十八改正日本薬局方)。花期直前に全草を採取し、根を除いて日干ししたものを薬用にする。 


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