辨 |
Foeniculum vulgare には、次のような種内分類群を区別することがある。
subsp. piperitum
subsp. capillaceum
苦茴香 var. α-vulgare(E.bitter fennel)
甘茴香(ローマ茴香) var. β-dulce(E.sweet fennel,Florence fennel,sweet anise)
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ウイキョウ属 Foeniculum(茴香 huíxiāng 屬)には、地中海地方・西&中央アジア・ヒマラヤに5種がある。
ウイキョウ F. vulgare(茴香)
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セリ科 Apiaceae(Umbelliferae;繖形(傘形) sănxíng 科)については、セリ科を見よ。 |
訓 |
漢名茴香(カイコウ,huíxiāng)は、古くは蘹香(カイコウ,huáixiāng)と書いた。『本草綱目』は蘇頌『圖經本草』を引いて「蘹香、北人
呼びて茴香と為す。聲 相近き也」と。 |
漢名を大茴香(八角茴香)というものは、トウシキミ Illicium verum、英名は star anise、中国料理・インド料理の重要な香料。これにたいして、ウイキョウを小茴香と呼ぶ。 |
和名は漢名の茴香から(ウイは茴の唐音)。 |
『本草和名』蘹香子に、「和名久礼乃於毛」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』22蘹香に、「クレノヲモ和名鈔 ウイキヤウ」と。 |
説 |
地中海地方・カフカス・エチオピア・アラビア・西&中央アジアに分布。全草に芳香がある。
中国には4-5世紀に西域から入り、日本には9世紀以前に中国から入った。 |
誌 |
古代エジプトやローマで利用されていた、古い作物。実や葉を香辛料とする。
中国料理の代表的な香辛料として、花椒 Zanthoxylum bungeanum・八角(ダイウイキョウ・トウシキミ) Illicium verum・桂皮(トンキンニッケイ) Cinnamomum cassia・丁香(チョウジ) Syzygium aromaticum・茴香(ウイキョウ) Foeniculum vulgare を五香(ゴコウ,wuxiang)と称する。 |
中国では、成熟した果実・根・葉及び全草を小茴香(ショウカイコウ,xiăohuíxiāng)と呼び薬用にする。地方により、イノンド Anethum graveolens(蒔蘿)やノハラニンジン Carum buriaticum(田葛縷子)の果実を小茴香として用いる。『全國中草藥匯編 上』pp.94-95 『中薬志Ⅱ』pp.15-19 『(修訂) 中葯志』III/177-180
日本薬局方では、生薬ウイキョウは 本種ウイキョウの果実である(第十八改正日本薬局方)。 |
茴香の実を吹落す夕嵐 (去来,『猿蓑』1691)
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茴香の花の静みにほのゆるる宵のかをりや星に沁むらん
(島木赤彦『馬鈴薯の花』)
わが世さびし身丈おなじき茴香も薄黄に花の咲きそめにけり
茴香の花の中ゆき君の泣くかはたれどきのここちこそすれ
憎悪(にくしみ)のこころ夏より秋にかけ茴香の花の咲くもあはれや (憎きは女、恋しきもまた女)
(北原白秋『桐の花』1913)
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