辨 |
ナタマメ属 Canavalia(刀豆 dāodòu 屬)には、熱帯・亜熱帯に約50種がある。
タカナタマメ C. cathartica(C.microcarpa;小刀豆・假刀豆) 『中国本草図録』Ⅹ/4646
琉球・臺灣・廣東・東南アジア・インド・濠洲北部・東アフリカ産
タチナタマメ C. ensiformis (直生刀豆・洋刀豆・挾劔豆・刀俠豆・皂莢豆・葛豆;
E.Jack bean, Horse bean) 中央・南アメリカ原産
ナタマメ C. gladiata (刀豆;E.Sword bean)
シロナタマメ f. alba
C. gladiolata(尖萼刀豆) 江西・廣西・雲南産 『植物智』によればナタマメのシノニム
ハマナタマメ C. lineata(Dolichos lineatus;狹刀豆)
本州(千葉山形以西)・四国・九州・琉球・臺灣・浙江・福建・兩廣産
『大和本草』に「磯豆(イソマメ)」と
シロバナハマナタマメ f. albidlora
ナガミハマナタマメ C. rosea(C.maritima;海刀豆) 琉球・華東・華南から世界の熱帯に産
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東アジアで栽培されている食用のマメについては、まめを見よ。 |
マメ科 Leguminosae(Fabaceae;豆 dòu 科・荳科)については、マメ科を見よ。 |
訓 |
漢名刀豆は、『本草綱目』に「莢形を以て命名せしなり」と。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』20(1806)に、「刀豆 ナタマメ タチハキ四国九州 タテハキ土州」と。 |
「和名ハ其莢曲リテなた(鉈)ノ形ヲ成セルヨリ云フ。又たてはきハ一ニたちはきトモ云ヒ帶刀ノ意ニシテ畢竟莢ヲ太刀ニ擬シタルナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
英名も、また学名の種小名(gladiata は「剣状の」)も、大きな莢の形に基づく。 |
説 |
熱帯アジア原産。中国では、長江以南で栽培する。
日本には慶長(1596-1615)年間に渡来。 |
誌 |
若い莢を蔬菜とし、熟した豆はよく煮て解毒した上、煮豆やきんとんの材料とする。
『大和本草』に、「其莢(サヤ)ワカク軟(ヤハラカ)ナル時、皮トモニ煮テ食シ、又熱湯ニユビキテ鹽ニツケ後日ニ味醬ニツケテ葅(ツケモノ)トス」と。 |
中国では、ナタマメ及びタチナタマメの種子を刀豆と呼び、果殻を刀豆殻と呼び、それぞれ薬用にする。『中薬志Ⅱ』pp.1-5 『(修訂) 中葯志』III/125-130 『全国中草葯匯編』下/9-10 |