辨 |
コンニャク属 Amorphophallus(魔芋 móyù 屬)には、主に旧世界の熱帯に約80種がある。
A. bulbifer(珠芽魔芋)
インドコンニャク(ゾウコンニャク) A. campanulatus(臭魔芋;E.Elephant ear yam)
A. dunnii(蛇槍頭・南蛇棒・大頭芋)
ヘンリーイモ A. henryi
ケコンニャク A. hirtus(A.niimurae;硬毛磨芋) 臺灣産
A. kerrii(長柱魔芋)
ヤマコンニャク A. kiusianus(A. hirtus var.kiusianus)
コンニャク A. konjac(a.rivieri, A.rivieri var.konjac;魔芋・磨芋)
A. mairei(東川磨芋)
A. mellii(蛇槍頭)
ゾウコンニャク(インドオオコンニャク) A. paeoniifolius 『週刊朝日百科 植物の世界』11-78
A. prainii 『週刊朝日百科 植物の世界』11-79
A. rivieri(磨芋・花杆蓮・花麻蛇)
A. sinensis(疏毛磨芋・蛇頭草・華東蒟蒻)
ショクダイオオコンニャク A. titanum(巨魔芋) 『週刊朝日百科 植物の世界』11-77
A. variabilis(野磨芋)
A. virosus(臭魔芋・疣柄磨芋) 『中国本草図録』Ⅰ/0403
A. yunnanensis(滇磨芋)
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サトイモ科 Araceae(天南星 tiānnánxīng 科)については、サトイモ科を見よ。 |
訓 |
和名は、漢名蒟蒻(クジャク,jŭruò)の音の転訛。
『倭名類聚抄』蒟蒻に、「和名古迩夜久」と。
『大和本草』に、「菎蒻{コンニヤク}」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』13 蒟蒻に、「コンニヤクダマ コンニヤクイモ」と。 |
説 |
インドシナ(或は中国南部)原産。日本には平安時代初期までに渡来。
イモはマンノースとマンナンを豊富に含む。蒟蒻がゲル状なのは、マンナンによる。 |
誌 |
日本・中国の一部・ミャンマーでは、地下の塊茎を食用にする。
中国では、塊茎を薬用にする。 『全国中草葯匯編』上/940-941 |
「コンニャク類の栽培植物には熱帯性のインドコンニャク(Amorphophallus campanulata)と温帯まで栽培できるコンニャク(A. konjac)がある。インドコンニャクはイモの直径が数十センチもの巨大なものになるが、インドが主な産地で、マレー以東ではだんだん見捨てられ、レリクト・クロップとして西部ポリネシアの島々に出現する。インドコンニャクは成分の関係上、日本のコンニャクの代用にならないといわれている。東アジアの温帯で栽培されるコンニャクはインドシナ半島の原産といわれ、シナ、日本で石灰でかためたコンニャクに加工される。そのほかマレーシア諸島に野生のまま採集、食用されるコンニャク類が若干見出される。コンニャク類はいずれも全部毒イモであるので、加工に何か工夫がないと食用にできない。しかしその加工はいずれも、日本のコンニャクの場合を含めて、直接的な水晒し法でない点は注目すべき点である。」(中尾佐助『栽培植物と農耕の起源』) |
蒟蒻にけふは売(うり)かつ若菜哉 (芭蕉,1644-1694)
菎蒻(こんにゃく)のさしみもすこし梅の花 (同)
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旅を来てかすかに心の澄むものは一樹のかげの蒟蒻ぐさのたま
こんにやくの茎の青斑(あをふ)の太茎をすぽりと抜きて声もたてなく
(1914「三崎行」,斉藤茂吉『あらたま』)
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「蒟蒻は体の砂払い」とは、コンニャクを食べると腹や睾丸にたまった砂を払うという俗信。12月8日または2月8日の針供養にコンニャクを食う(平野雅章『食物ことわざ事典』1978)。 |