辨 |
次のような変種・品種がある。
立レタス(カキチシャ) var. romana(生菜・直立萵苣・散葉萵苣;
E.Cutting lettuce, Cos type, Romaine type)
古い品種。茎につく葉をかきとって食う
茎レタス(クキチシャ) var. augustana(萵笋・莖葉萵苣;E.Celtuce, Asparagus lettuce)
太く多汁の茎を食用
葉レタス(チリメンヂシャ) var. crispa(皺葉萵苣;E.Loose-leaf type, bunching type)
根生葉を利用する小型の葉チシャ、サニーレタス
玉レタス(タマチシャ) var. capitata(卷心萵苣・結球萵苣;E.Heading lettuce)
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アキノノゲシ属 Lactuca(萵苣 wōjù 屬)については、アキノノゲシ属を見よ。 |
訓 |
漢字の苣(キョ,jù・qŭ)は、ノゲシ属 Sonchus・アキノノゲシ属 Lactuca の草の名〔萵苣(ワキョ, wōjù)はチシャ、苣蕒菜(キョバイサイ,qúmăicài)はハチジョウナ
Sonchus brachyotus〕。
萵苣というのは、この植物が咼(カ・ワ,wō)国から漢土に伝えられたと考えられたことから。千金菜とは、そのとき咼国の使者に厚く酬いたことから(陶穀『淸異錄』)。
生菜とは、古来生食したことから。 |
『本草和名』白苣に、「和名知佐」と。
『倭名類聚抄』苣に、「和名知散」と。
『大和本草』に、「萵苣{チサ}」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』23 萵苣に、「チサ和名鈔 チシヤ今名」と。 |
和名チサとチシャについて。「仮名文字が作られた頃のサ行音は〔ʃ〕という拗音性の音価で、これを仮名一文字で表記したが、後に他の行の表記にあわせて、「サ=〔sa〕」から「シャ=〔ʃa〕」へと表記が変わったことによるものである」(『日本国語大辞典
第二版』)。 |
チサ(チシャ)の語源については諸説がある。『日本国語大辞典 第二版』参照。
なお、チシャノキ・エゴノキ(一名チシャノキ)にもチシャの称がある。 |
説 |
地中海東部乃至西アジア(小アジア・トランスコーカサス・イラン・トルキスタン)原産。
おそらく、野生種トゲチシャ L. serriola(L.scariola;地中海地方・西アジア産)から作られた栽培品種。
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エジプトでは、早くB.C.4500ころ食用に利用していた。そののちA.D.1世紀にはギリシア・ローマで一般に利用していた。
玉レタスは、16世紀以降に西洋で品種改良されたもの。
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漢土には唐代に入る。日本には、漢土から入り、古くから栽培。
明治以後、西洋のレタスが日本に入る。ただし玉レタスを栽培しだしたのは第二次世界大戦後。 |
誌 |
『万葉集』に出るチサ・チシャは、エゴノキ(別名はヤマヂシャ)。 |
ちさはまだ青ばながらになすび汁 (芭蕉,1644-1694)
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