せんのう (仙翁)

 学名
 Silene bungeana (S.senno, Lychnis senno) 
 和名
 センノウ
 科名(和)
 ナデシコ科
  別名(和)
 センノウケ(仙翁花)、ガンピ(岩菲)
 漢名
 剪紅紗花(センコウサカ,jiănhóngshāhuā)
 科名(漢)
 石竹(セキチク,shízhú)科
  別名(漢)
 剪秋羅(センシュウラ,jiănqiūluó)、漢宮秋、闊葉鯉魚膽
 英名

2012/05/11 小石川植物園 

2011/08/28 富山県中央植物園
 ここに写真を載せるセンノウについて、富山県中央植物園には次のように解説されていた。略々、
 センノウは600年以上前に中国から渡来し、室町時代~江戸時代に広く栽培され、多くの文献・美術品に登場してきた。しかし近年日本では見ることが少なく、一時は幻の植物と考えられていた。
 1997年、島根県で栽培されていることを確認、富山県中央植物園に導入し、本格的に保存・研究をはじめた。千葉大学との共同研究の結果センノウの染色体は三倍体であることが分り、日本のセンノウはすべて一個体から栄養繁殖(挿木・株分など)で増殖されたクローンではないかと考えられるに至った。また富山県農林水産技術センターの研究によりセンノウがウイルスに冒されていることが分り、富山県立中央農業高校では生長点培養を行ってウイルスの除去に成功した。富山県中央植物園ではこれを植物バイオテクノロジーを用いて大量増殖し、県内農家に試験栽培して貰い、今回開花に至った、と。
 

 かつてセンノウ属 Lychnis(剪秋羅 jiănqiūluó 屬)が立てられ、北半球に約25種が認められていたが、今日ではこれをマンテマ属 Silene(蠅子草 yíngzĭcăo 屬)に包摂する考え方か強い。
 旧センノウ属の植物では、次のものを本譜に掲載する:

   アケボノセンノウエンビセンノウカッコウセンノウスイセンノウ
   センジュガンピセンノウフシグロセンノウマツモトセンノウ 
    

 マンテマ属 Silene(蠅子草 yíngzĭcăo 屬)については、マンテマ属を見よ。

 

 「仙翁花。嵯峨仙翁寺、始めて此の花を出だす、故に仙翁花と云う」(『下学集(1444)』)。
 「和名仙翁ハ此草原ト山城嵯峨ノ仙翁寺ニ出ヅルヲ以テ此ク云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。
 ただし室町時代に栽培されていた仙翁花と今日のセンノウとの関係は不明。
 また、今日嵯峨鳥居本仙翁町附近で栽培されている「仙翁花」は、フシグロセンノウまたはマツモトセンノウ(或は江戸時代に作られたその園芸品種)だという。

 ガンピは、本種やガンピセンノウ Silene banksia(剪春羅)の旧称だが、「和名がんぴハ其意不明ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)という。
 岩菲(巖菲)という漢字表記はおよそ日本語らしくないが、今のところ漢語にも見出しえていない。
 『大和本草』に、「剪春羅(ガンヒ) ・・・花ノ端、人力ニテ剪タル ツクリ花ノ如シ」と、「剪秋羅(センヲウ) ・・・剪春羅ト一類ニテ別ナリ、ガンヒヨリ花マサレリ・・・センヲウハ嵯峨ノ仙翁寺ヨリ出タルユヘ名ツクト云、仙翁寺今ハナシ」と。 

 長江流域に分布し、野生し或は栽培されるという(『中国高等植物図鑑』)。

 日本には 14c.半ばころ現れ(『愚管記』)、爾来観賞用に広く栽培。

 中国では、根・全草を薬用にする。



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