ほうせんか (鳳仙花) 

学名  Impatiens balsamina
日本名  ホウセンカ 
科名(日本名)  ツリフネソウ科
  日本語別名  ツマベニ・ツマクレナイ(爪紅)、ホネヌキ(骨抜)
漢名  鳳仙花(ホウセンカ,fèngxiānhuā)
科名(漢名)  鳳仙花(ホウセンカ,fèngxiānhuā)科
  漢語別名  鳳仙・鳳仙草・金鳳花、急性子、指甲草(シコウソウ,zhĭjiăcăo)・染指甲草・指甲花・水指甲、透骨草(トウコツソウ,tòugŭcăo)、海蒳、旱珍珠、小桃紅、夾竹桃、小粉團、滿堂紅、
英名  Garden balsam
2006/09/07 法善寺 (長瀞)

2005/07/28 跡見学園女子大学新座キャンパス

八重ざき品   2023/08/30 薬用植物園 

 ツリフネソウ属 Impatiens(鳳仙花 fèngxiānhuā 屬)については、ツリフネソウ属を見よ。
 和名は、漢名の音。別名の爪紅は、女の子の遊びで 赤い花の汁で爪を染めたことから。
 『大和本草』に、「鳳仙花(ツマクレナイ) 一名金鳳花、又名夾竹桃、其實急性子・・・女兒此花ト酢漿草ノ葉ヲモミ合セテ爪ヲ染ム、紅色トナル」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』13(1806)鳳仙に、「ホウセンクハ
通名 ツマグレナヰ古名 ツマベニ ツマネ肥前 ホネヌキ ツマグロ筑前 ツマグレ同上 トビシヤゴ豫州 ミヤコワスレ藝州 カウセンクハ南部」と。
 漢名は、「其の花、頭翅尾足、倶に翹翹然として鳳の状の如し(どこをとっても 鳳凰が高々と空を飛ぶ姿に似ている)、故に以て之に名づく」と。
 別名については、女人がその花及び葉を採って指の甲
(つめ)を包染するので指甲草などと言い、その実の形が桃の実に似ているので小桃紅などと言い、熟すと破裂するので急性子という(以上、本草綱目)
 南インド・スリランカ原産。観賞用に栽培され、花の色・形がさまざまな品種が作られている。
 中国では、ほぼ全国で栽培。
 雌雄異熟。雌蕊に先立ち、雄蕊が熟す。
 中国では、白花のホウセンカの全草を透骨草(トウコツソウ,tòugŭcăo)と呼び、根を鳳仙根(ホウセンコン,fèngxiāngēn)と呼び、花を鳳仙花(ホウセンカ,fèngxiānhuā)と呼び、種子を急性子(キュウセイシ,jíxìngzĭ)と呼び、それぞれ薬用にする。 『中薬志』Ⅱpp.321-323・Ⅲ192-202 『全國中草藥匯編 上』pp.626-627,713-715 『(修訂) 中葯志』III/542-544,570-578
  
 透骨草と呼ぶ中草薬は古くから混乱しており、今日の初歩的な調査によっても基原植物は11科16種以上に及ぶ、という。すなわち、

  〇ダイダイグサ Speranskia tuberculata (地構葉・珍珠透骨草・竹格叉)
トウダイグサ科
  〇ホウセンカ Impatiens balsamina (鳳仙花・鳳仙透骨草・指甲草)

の2種の正品のほかに、次のようなものを含む。

  キンミズヒキ Agrimonia pilosa(龍芽草)
  ノミノツヅリ Arenaria serpyrrifolia(無心菜・鵞不食草・卵葉蚤綴)
  Clematis aethusaefolia (驢斷腸・細葉鐵綫蓮)
  ヒメクワノテ Clematis intricata (黄花鐵綫蓮・鐵綫透骨草) 
  スズサイコ Cynanchum paniculatum(Pycnostelma paniculatum;徐長卿)
  タイワンシラタマ Gaultheria yunnanensis (滇白珠・小透骨草・滿山香)
  カキドオシ Glechoma hederacea(連錢草)
  Glechoma longituba(活血丹)
  Incarvillea sinensis (角蒿・角蒿透骨草・羊角透骨草)
 ノウゼンカズラ科
  エゾノレンリソウ Lathyrus palustris(山黧豆)
  ハエドクソウ Phryma leptostachya(透骨草)
  エダハリマンテマ Silene tatarinowii(Melandryum tatarinowii;脱骨草・山女婁菜)
  カナビキソウ Thesium chinense (百蕊草)
 ビャクダン科 
  クマツヅラ Verbena officinalis(馬鞭草)
  ツルフジバカマ Vicia amoena (山野豌豆・東北透骨草・落豆秧)
  クサフジ Vicia cracca (廣布野豌豆) 
  オオバクサフジ Vicia pseudo-orobus (假香野豌豆) 
   
 南宋の第3代皇帝 光宗(在位1189-1194)の李皇后は諱を鳳といったので、宮中ではこの花を好女兒花と呼んだという。(本草綱目) 
 筆者(嶋田)の幼少年時代(1950年代)、東京でも信州でも、庭先や路傍に鳳仙花が一杯さいていた。  
 
   夏よ夏よ鳳仙花ちらし走りゆく人力車夫にしばしかがやけ
   薄らかに紅く孱弱
(かよわ)し鳳仙花人力車(じんりき)の輪にちるはいそがし
   鳳仙花うまれて啼ける犬ころの薄き皮膚より秋立ちにけり
     
 (北原白秋『桐の花』1913)
 

跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
クマタケラン ハス カキツバタ ヒメカンゾウ ヒレアザミ ハス 跡見群芳譜トップ 花卉譜index