辨 |
フクジュソウ Adonis ramosa(側金盞花)には、多くの園芸品種がある。
チチブベニ(秩父紅) 'Chichibubeni'
フクジュカイ(福寿海) 'Fukujukai' フクジュソウとミチノクフクジュソウの交配種
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フクジュソウ属 Adonis(側金盞花 cèjīnzhănhuā 屬)には、広く北半球に約30種がある。
ナツザキフクジュソウ A. aestivalis(夏側金盞花・福壽草)『(修訂) 中葯志』IV/365
歐洲・北西アフリカ・西&中央アジア・ヒマラヤ産、中国では観賞用に栽培
var. parviflora(小側金盞花)
A. aleppica イスラエル産
キタミフクジュソウ A. amurensis(A.amurensis var.puberula,
Chrysocyathus amurensis;側金盞花・紅臘華・冰涼花)
北海道・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・極東ロシア産
『全國中草藥匯編 上』pp.319-320 『(修訂) 中葯志』IV/361-367
アキザキフクジュソウ A. annua(歐側金盞花・年生側金盞花・秋側金盞花) 歐亞産
A. bobroviana(甘靑側金盞花)
A. brevistyla(短柱側金盞花・短柱福壽草)『(修訂) 中葯志』IV/365
『雲南の植物Ⅰ』60・『雲南の植物』81・『週刊朝日百科 植物の世界』8-251
A. chrysocyathus(金黃側金盞花・金色冰涼花)
ヒマラヤ・中央アジア産 『全國中草藥匯編 上』pp.320
A. coerules(藍側金盞花) 『週刊朝日百科 植物の世界』8-251
A. davidii(短柱側金盞花・陜瓣側金盞花)
A. dentata(春側金盞花) イスラエル産、『週刊朝日百科 植物の世界』8-252
A. microcarpa イスラエル産、『週刊朝日百科 植物の世界』8-252
ミチノクフクジュソウ A. multiflora(Chrysocyathus multiflorus)
A. palaestina イスラエル産
コフクジュソウ A. pseudoamurensis(遼吉側金盞花) 朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江産
中国では、A.ramosa のシノニムとする 『(修訂) 中葯志』IV/365
フクジュソウ A. ramosa(A.amurensis var.ramosa;遼吉側金盞花)
シコクフクジュソウ A. shikokuensis
A. sibirica(北側金盞花・西伯利亞福壽草) 『中国本草図録』Ⅸ/4103
A. sutchuenensis(蜀側金盞花・四川福壽草・毛黃連・毛連)
陝西・四川産 『全国中草葯匯編』下/147
A. tianshanica(天山側金盞花)『(修訂) 中葯志』IV/365
ヨウシュフクジュソウ A. vernalis(春側金盞花) 南歐産
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キンポウゲ科 Ranunculaceae(毛茛 máogèn 科)の植物については、キンポウゲ科を見よ。 |
訓 |
マンサクは ほかの花に先駆けて「先ずさく」意か。マンサクの訓を見よ。
元日草の名は、正月の床飾りに用いることから。 |
『大和本草』福壽草に、「フクヅク草トモ、元日草トモ云」と。 |
漢名の金盞花(キンサンカ,jīnzhănhuā)はキンセンカ、側(ソク,cè)は「傾いた」、遼吉は遼寧・吉林。
なお、遼吉側金盞花は本来 A.pseudoamurensis の漢名であるが、中国では A.pseudoamurensis を A.ramosa
のシノニムとするので、フクジュソウの漢名は遼吉側金盞花ということになる。 |
説 |
北海道・本州に分布。
全国でも埼玉でも、絶滅危惧Ⅱ類(VU)。
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全草にアドニトキシン adonitoxin などの強心配糖体を含み、有毒。 |
誌 |
全草を薬用にする。 |
江戸時代から栽培され、今日では60を超える品種がある。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「福寿草 初中。花金色(こんしき)、葩(はなひら)多ク菊のことし。葉こまかなる小草なり。花朝ニ開、夕にねむり、其花又朝にひらきて、盛久敷物なり。○元日草共ふくづくくさともいふ。祝儀の花也」と。 |
朝日さす弓師が店(たな)や福寿草 (蕪村,1716-1783)
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