せんだん (栴檀) 

学名  Melia azedarach
日本名  センダン
科名(日本名)  センダン科 
  日本語別名  オウチ(アフチ,楝)、アラノキ、アミノギ、クモミソウ(雲見草)
漢名  楝(レン,lian)
科名(漢名)  楝科
  漢語別名  苦楝(クレン,kulian)、楝棗子(レンソウシ,lianzaozi)、楝果子(レンカシ,lianguozi)、森樹(シンジュ,senshu)、樗(チョ,chu)
英名  Chinaberry, Bead's tree, Persian lilac,China tree,Pride-of-India
2007/05/20 神代植物公園
2007/05/18 跡見学園女子大学新座キャンパス
2006/10/16 跡見学園女子大学新座キャンパス
2005/12/15 神代植物公園
2006/01/15 薬用植物園

 センダン科 Meliaceae(楝科)には、世界に約50属550種がある。
   モラン属 Aglaia(米仔蘭屬)
     A. formosana(臺灣米仔蘭・紅柴)
     モラン
(ジュラン) A. odorata(米仔蘭・樹蘭・碎米蘭・山胡椒)
     A. tetrapetala(四瓣米仔蘭・沙羅子・紅羅)
   Aphanamixis(山楝屬)
     A. polystachya(山楝・鐵羅・紅羅・沙欏)
   Cedrela(洋椿屬)
   Chisocheton(溪桫屬)
   Chukrasia(麻楝屬)
     C. tabularis(麻楝)
   Cipadessa(漿果楝屬)
     C. cinerascens(灰毛漿果楝・野桐椒・臭子)
   シマセンダン属 Dysoxylum(樫木屬)
     D. binectariferum(紅果樫木・紅羅・山羅)
     D. hongkongense(香港樫木)
     D. kusukusense(臺灣樫木)
   Heynea(鷓鴣花屬)
     H. trijuga(鷓鴣花)
     H. velutina(茸果鷓鴣花)
   ランサ属 Lansium(榔色木屬)
     ランサ
(ランサット) L. domesticum(蘭撒果) マレーシア原産
   センダン属 Melia(楝屬)
   Munronia(地黄連屬)
     M. hainanensis(海南地黄連)
     M. henryi(滇黔地黄連)
     M. simplicifolia(崖州地黄連)
     M.sinica(地黄連・花葉矮沱沱・土黄連)
     M. unifoliata(單葉地黄連)
   マホガニー属 Swietenia(桃花心木屬)
     オオバマホガニー S. macrophylla(大葉桃花心木)
     マホガニー S. mahogani(桃花心木)
 フロリダ半島・西インド諸島に分布
   チャンチン属 Toona(香椿屬)
   Turraea(金銀楝屬)
   Xylocarpus(木果楝屬) 
 センダン属 Melia(楝屬)には、東アジアからオーストラリアに約10種がある。
   M. azedarach(楝樹・苦楝・楝棗子・楝果子・森樹)
     トキワセンダン
(タイワンセンダン) var. azadarach
        
 中国・インドシナ半島北部・ヒマラヤに分布
     センダン
(オウチ) var. subtripinnata
   M. dubia(南嶺楝樹)
   M. toosendan(M.azedarach var.toosendan;川楝・川楝子)
        
『中薬志Ⅱ』pp.246-250、『雲南の植物Ⅱ』173・『中国本草図録』Ⅵ/2700 
 和名は古くはオウチ(あふち)、『万葉集』にすでに見え、字は漢名の楝をあてていた。
 センダン
(栴檀)の呼称は江戸時代に始まる。センダンの木には材に少し香りがあるので、和の栴檀と呼んだことから、やがてこの木の名になったものという。
 なお 一説に、センダンの名は、その実のようすから 千珠
(せんだま)の転訛、ともいう。
 漢語の栴檀(センダン,zhantan)は、サンスクリット語のチャンダナ candana の音写。インドネシア原産のビャクダン科の常緑高木ビャクダン Santalum album(白檀)を指す。その中国名は檀香(ダンコウ,tanxiang)、英名は sandalwood、たいへん有名な香木である。
 漢名を樗(チョ,chu)というものは、ニワウルシまたはセンダン。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)楝実に、「和名阿布知乃美」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)に、楝は「本草云、阿布智」と、樗は「和名本草云、沼天」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』
(1806)31に、楝は「アフチ古名 クモミグサ古歌 センダンノキ」と。
 種小名は、アラビア名から。
 ヒマラヤ山麓原産、広くアジアの各地で栽培され、日本では関東以西、中国では黄河以南の暖地に植栽される。
 材は建築などに用い、花からは芳香油をとり、種子から採る油はペンキ・潤滑油などに用いる。
 種子を苦楝子(金鈴子)・樹皮を苦楝皮と呼び、薬用にする。
『中薬志』Ⅱpp.246-250・Ⅲpp.438-441 
 『詩経』国風・豳風「七月」に、「九月は苴(しょ。アサの実)を叔(ひろ)ひ、荼(と。ニガナ)を采(と)り樗(ちょ)を薪にし、我が農夫を食(やしな)ふ」と。
 日本では、毀誉褒貶のある木。プラス面では、センダンは邪気を払う霊能を持つ木と考えられていて、平安時代から 端午の節句(旧暦5月5日)に軒に葺いたり身に帯びたりした。マイナス面では、中世以来不浄の木とされ、京都の三条河原のセンダンの木に木曾義仲ら謀反人の首をかけて晒したといわれ、江戸では鈴が森の処刑場の周りに植えられたという。
 (なお、中国ではマイナスイメージは無く、春の終わり、夏の到来を告げる木。)
 諺に「栴檀は双葉より芳し」(西行「撰集抄」)という栴檀は、香木ビャクダン(白檀)であり、本種ではない。
 『万葉集』に、

   いも
(妹)がみ(見)しあふち(楝)のはな(花)はち(散)りぬべし
      わがな
(泣)くなみた(涙)いまだひ(干)なくに (5/798,山上憶良)
   吾妹子にあふち
(楝)の花は落(ち)り過ぎず今咲ける如ありこせぬかも (10/1973,読人知らず)
   珠にぬ
(貫)くあふちを宅にう(植)ゑたらば
     やま
(山)霍公鳥(ほととぎす)(離)れずこ(来)むかも (17/3910,大伴書持)
   ほととぎすあふちの枝にゆきて居ば花はちらむな珠と見るまで
(17/3913,大伴家持)

 清少納言『枕草子』第37段「木の花は」に、「木のさまにくげなれど、あふち
(楝)の花いとをかし。かれがれにさまことに咲きて、かならず五月五日にあふもをかし」と。

 『新古今集』に、

   あふちさく外面の木陰露落ちて五月雨はるる風渡るなり
(藤原忠良)

 平治2年(1160)正月3日、源義朝(1123-1160)、尾張国野間において長田忠致(ただむね)により殺さる。「七日、尾張国住人長田四郎忠致、子息先生(せんじょう)景致(かげむね)上洛し、前左馬頭(さきのさまのかみ)義朝、幷に鎌田兵衛政家が首を持参して、不次(ふじ)の賞をかうぶるべき由、望申けり。・・・同九日、・・・検非違使(けびいし)八人ゆきむかて、首をうけとり、西洞院(にしのとういん)を上りにわたし、左の獄門の樗(おうち)の木にぞかけたりける」(『平治物語』下、岩波文庫本) 
 あふち咲(さく)くもゐをちりのふもとかな (宗長,1448-1532,『宗長手記』1526) 

   どむみりとあふちや雨の花曇 
(芭蕉,1644-1694)
 
 
 三木露風
(1889-1964)に、「栴檀」の詩がある(1913,『白き手の猟人』所収)


  風のおと川わたり来るみやしろに栴檀の実のおつるひととき
    (1930.08.12「丹生の川上」,斎藤茂吉『たかはら』) 
 

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