さるすべり (猿滑)
学名 |
Lagerstroemia indica |
日本名 |
サルスベリ |
科名(日本名) |
ミソハギ科 |
日本語別名 |
ヒャクジツコウ(百日紅)、サルナメシ・サルナメリ、ハダカノキ・ハダカギ |
漢名 |
紫薇(シビ,zĭwēi) |
科名(漢名) |
千屈菜(センクツサイ,qiānqūcài)科 |
漢語別名 |
また花の色により白薇(ハクビ,báiwēi)・紅薇(コウビ,hóngwēi)・翠薇(スイビ,cuìwēi)などを区別し、薇花(ビカ,wēihuā)と総称。
百日紅(ヒャクジツコウ,băirìhóng)、滿堂紅(マンドウコウ,măntánghóng)、痒痒花(ヨウヨウカ,yăngyănghuā)・痒痒樹、拍癢花(ハクヨウカ,paiyanghua)、海棠樹(カイドウジュ,haitangshu)、猴剌脱(コウラツダツ,houlatuo)、猴郎達樹(コウロウタツジュ,houlangdashu)、無皮樹(ブヒジュ,wupishu) |
英名 |
Crape myrtle, Indian lilac |
2007/04/29 神代植物公園 |
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2005/07/28 跡見学園女子大学新座キャンパス |
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2005/08/23 三芳町竹間沢 |
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2004/10/08 学内 |
2005/12/10 三芳町竹間沢 |
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2009/08/22 富山県五箇山にて |
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辨 |
サルスベリ属 Lagerstroemia(紫薇 zĭwēi 屬)には、東&東南アジア~豪州の熱帯・亜熱帯に約30種がある。
コサルスベリ(ムラサキサルスベリ) L. × amabilis 中国原産、サルスベリとシマサルスベリの雑種
L. excelsa(Oris excelsa;川黔紫薇) 湖北・四川・貴州産
サルスベリ L. indica(紫薇)
L. limii(L.chekiangensis;福建紫薇) 福建・浙江・湖北産
オオバナサルスベリ(オオサルスベリ・ジャワザクラ) L. speciosa(大花紫薇・百日紅)
東南アジア原産 サイゴン・シンガポールなどで街路樹 『中国本草図録』Ⅸ/4253
『中尾佐助著作集』IV巻頭図版
L. subcostata
シマサルスベリ var. subcostata(南紫薇・苞飯花)
ヤクシマサルスベリ var. fauriei(L.fauriei) 屋久島・種子島・奄美産
L. tomentosa(絨毛紫薇・毛葉紫薇) 雲南産 『雲南の植物Ⅲ』60
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ミソハギ科 LYTHRACEAE(千屈菜 qiānqūcài 科)については、ミソハギ科を見よ。 |
訓 |
「和名猿滑りハ其樹膚滑澤ニシテ猿モ亦滑リ落ルト云フヨリ名ク」(『牧野日本植物図鑑』)。漢語の別名猴剌脱・猴郎達樹も同意。
なお、ナツツバキ・ヒメシャラにも サルスベリの称があった。 |
漢名百日紅(ヒャクジツコウ,băirìhóng)は、花期が(陰暦6月から9月までと)長いことから。 |
中国で、幹を指で掻けば枝葉が動くといい、痒痒樹・拍癢花の称がある。
日本でも、同様にサスリノキ・クスグリノキ・コソグリノキ・コチョコチョノキ・ワライギなどの別名がある。 |
英名に含まれる Myrtle は ミルテだが、所謂ミルテの花は全く別の植物であり、フトモモ科の常緑樹ギンバイカ M. communis(E.Myrtle,G.Myrte,F.Myrte)。また、ヒメツルニチニチソウの英名も Myrtle。 |
属名 Lagerstroemia は、スウェーデン人ランゲルストレーム Magnus von Langerstroem(?-1759)に因む。彼は、リンネの友人。 |
説 |
奄美・臺灣・華東・兩湖・兩廣・西南・陝西・河南・山東・河北・フィリピン産。日本内地には鎌倉時代までに(一説に江戸時代以前に)渡来。 |
誌 |
中国では、根・樹皮を薬用にする。 『全国中草葯匯編』上/851 『(修訂) 中葯志』V/510 |
『花壇地錦抄』(1695)巻三「山椒(さんせう)るひ」に、「百日紅(ひやくじつかう) 花色くれない、むらさきのやうニも見ゆる。さかり久敷有」と。 |
油蝉いま鳴きにけり大かぜのなごりの著(し)るき百日紅(さるすべり)のはな
冬庭に百日紅の木ほそり立ち七面鳥のつがひあゆめり
(1914,斉藤茂吉『あらたま』)
長崎の昼しづかなる唐寺やおもひいづれば白きさるすべりのはな
(1921,斎藤茂吉『つゆじも』)
ゆふぐれのかぜ庭土をふきとほり散りし百日紅(ひやくじつこう)の花を動かす
しづかなる秋日(あきび)となりて百日紅(さるすべり)いまだも庭に散りしきにけり
(1935,斎藤茂吉『暁紅』)
わが庭は冬さびにけりまぼろしにいまだも見ゆるさるすべりの花
(1936「庭前初冬」,斎藤茂吉『暁紅』)
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