辨 |
モミ属 Abies(冷杉 lěngshān 屬)には、北半球の暖帯乃至亜寒帯に約40種がある。
ヨーロッパモミ A. alba(E.Silver fir; G.Tanne, Tannenbaum)
アマビリスファー A. amabilis(E.Amabilis fir, White fir) 北アメリカ西部産
バルサムモミ(バルサムファー) A. balsamea(E.Balsam fir) 北アメリカ産
A. bracteata 北アメリカ(カリフォルニア)産
A. chensiensis(秦嶺冷杉・陝西冷杉・樅樹)
コロラドモミ A. concolor(A.parsonsiana; E.White fir, Colorado fir)
A. delavayi (蒼山冷杉・大理冷杉・高山樅)
A. ernestii (黃果冷杉)
A. fabri (冷杉 lěng shān ・塔杉・峨嵋冷杉・樅) 四川産、『中国本草図録』Ⅶ/3037
A. fargesii(巴山冷杉・四川冷杉) 河南・陝甘・湖北・四川産 『全国中草葯匯編』下/243
A. faxoniana (岷江冷杉・柔毛冷杉)
モミ A. firma(日本冷杉)
A. forrestii(川滇冷杉) 『雲南の植物Ⅰ』43
フラセリーモミ A. fraseri
A. georgei (長苞冷杉・雲南■{木偏に叢})
アメリカオオモミ A. grandis(E.Grand fir)
チョウセンモミ A. holophylla (杉松・遼東冷杉・沙松・白松) 『中国本草図録』Ⅸ/4053
ウラジロモミ A. homolepsis
ミツミネモミ var. umbellata(A.umbellata)
ニイタカトドマツ A. kawakamii (臺灣冷杉) 臺灣産
A. koreana 『週刊朝日百科 植物の世界』1-6
カリフォルニアレッドファー A. magnifica(美魁松;E.Red fir)
オオシラビソ(アオモリトドマツ・ツガ・ヒソ) A. mariesii
トウシセベ A. nephrolepis (臭冷杉・臭松・東陵冷杉)
ノーブルファー A. procera(A.nobilis;E.Noble fir)
トドマツ A. sachaliensis
アオトドマツ(アオトド・トドマツ) var. mayriana(A.mayriana)
アカトドマツ var. sachaliensis(var.nemorensis)
シベリアモミ A. sibirica (西伯利亞冷杉)『中国本草図録』Ⅶ/3038
A. spectabilis(西藏冷杉・喜馬拉雅冷杉) ヒマラヤ産
A. squamata (鱗皮冷杉)
A. sutchuenensis (A.fargesii;巴山冷杉・鄂西冷杉・太白冷杉・洮河冷杉)
シラビソ(シラベ) A. veitchii
アオシラベ var. olivacea
コマガタケシラベ var. komagatakensis
シコクシラベ var. reflexa(var.shikokiana, A.shikokiana)
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マツ科 PINACEAE(松 sōng 科)については、マツ科を見よ。 |
訓 |
『倭名類聚抄』樅に「和名毛美」と。 |
モミソ(樅曾)は、モミヒソの意であろう。
シラビソ(白檜曾)の名にも出るヒソは、檜曾・檜祖・檜楚・比蘇などと漢字にあてるが、奈良時代に遡る古語。屋根の骨組み・稲架(はさ)などに用いる針葉樹のまっすぐな細丸太を言い、転じてその材になる樹木を謂うものであろう(武田久義『民俗と植物』)。
「和名もみハ其語原充分ニ分明ナラズ、さなぎハ土佐ノ方言、さなハ稻扱器ノ古名ニシテ古來此材ヲ其器ニ造リシヲ知ル」(『牧野日本植物圖鑑』)。 |
説 |
日本の、秋田県から屋久島にかけて、暖帯から温帯下部の山地に分布。
高さ30m以上、直径1.5m以上に達する。 |
誌 |
『伊豫国風土記』逸文に、舒明天皇(在位629-641)と皇后とが伊予のいさにはの温泉に御幸したとき、「大殿戸に椹と臣の木と有り」という。椹はムク(椋)、臣の木はモミ。ここに小鳥が集まったので、天皇は稲穂を懸けてこれらを養ったという。
この御幸の事はのちのちまで有名であった。山部赤人(act.724-736)が この温泉に行って作った歌に、
・・・
み湯の上の 樹村(こむら)を見れば 臣(おみ)の木も 生ひ継ぎにけり
鳴く鳥の 音(こえ)も更(かは)らず 遠き代に 神さびゆかむ 行幸処(いでましどころ)
(『万葉集』3/322,山部赤人)
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ヨーロッパでは、ヨーロッパモミをクリスマスツリーとして用いる。
クリスマスツリーを飾る習慣は、16世紀のブレーメンで始まったものであり、ドイツ国内一般に広がったのは 19世紀のことだという。 |