辨 |
シデ属(クマシデ属) Carpinus(鵝耳櫪 éěrlì 屬)には、北半球の温帯・暖帯に約30-40種がある。
C. chuniana(粤北鵝耳櫪) 兩湖・廣東・貴州産
C. cordata
サワシバ(サワシデ・ヒメサワシバ・ネソノキ) var. cordata(C.erosa,
C.cordata var.pseudojaponica, C.cordata var.microcarpa;
千金楡 qiānjīnyú) 『中国本草図録』Ⅲ/1069
ビロードサワシバ var. chinensis(C.cordata var.velutina;華鵝耳櫪・華千金楡)
var. mollis(毛葉千金楡)
オオサワシバ var. pseudo-japonica
C. fangiana(長穗鵝耳櫪・川黔千金楡) 廣西・四川・貴州・雲南産
C. fargesiana(千筋樹・川陝鵝耳櫪) 陝西・四川産
C. fargesii(大穗鵝耳櫪・牯嶺鵝耳櫪)
C. hebestroma(太魯閣鵝耳櫪) 臺灣産
C. hupeana(湖北鵝耳櫪) 河南・華東・両湖産
クマシデ(カタシデ) C. japonica(C.distegacarpus, Distegacarpus carpinus)
C. kawakamii(阿里山鵝耳櫪) 福建・臺灣産
C. kweichowensis(貴州鵝耳櫪) 雲貴産
C. lanceolata(海南鵝耳櫪)
アカシデ(シデ・コシデ・シデノキ、ソロ・ソロノキ、ソネ・コソネ・シロソネ・ホンソネ)
C. laxiflora(Distegacarpus laxiflora;疏花鵝耳櫪)
C. londoniana
var. londoniana(短尾鵝耳櫪・岷江鵝耳櫪・白皮鵝耳櫪)
華東・湖南・兩廣・四川・貴州・雲南・インドシナ産 『雲南の植物Ⅲ』151
var. xiphobracteata(劔苞鵝耳櫪) 浙江鄞縣産
var. lanceolata(海南鵝耳櫪) 海南島産
var. latifolia(寛葉鵝耳櫪) 浙江寧波産
C. minutiserrata(細齒鵝耳櫪) 臺灣産
C. mollicoma(軟毛鵝耳櫪) 四川・雲南産
C. monbeigiana(滇鵝耳櫪・雲南鵝耳櫪) 雲南産
C. omeiensis(峨嵋鵝耳櫪) 四川・貴州産
C. polyneura(多脈鵝耳櫪) 陝西・華東・兩湖・廣東・貴州・四川産
C. pubescens(雲貴鵝耳櫪) 陝西・四川・貴州・雲南産
C. purpurinervis(紫脈鵝耳櫪) 廣西・貴州産
C. putoensis(普陀鵝耳櫪) 浙江舟山群島産
C. rankanensis(臺灣鵝耳櫪・蘭邯千金楡) 臺灣産
C. rupestris(巖生鵝耳櫪) 貴州産
C. shensiensis(陝西鵝耳櫪) 陝甘産
C. tientaiensis(天台鵝耳櫪) 浙江産
C. tsaiana(寛苞鵝耳櫪) 雲貴産
イヌシデ(シロシデ、アオシデ、アブラシデ、ソロ・ソネ) C. tschonoskii(C.falcatibracteata;
鎌苞鵝耳櫪・昌化鵝耳櫪)
イワシデ(コシデ) C. turczaninovii(C.tanakaeana;鵝耳櫪 éěrlì)
本州(中国)・四国・九州・朝鮮・遼寧・華北・山東・陝甘産
vatr. stipulata(小葉鵝耳櫪)
C. viminea(雷公鵝耳櫪) 華東・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・チベット産
var. chiukiangensis(貢山鵝耳櫪) 雲南・チベット産
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カバノキ科 Betulaceae(樺木 huàmù 科)については、カバノキ科を見よ。 |
訓 |
和名のシデは、神道儀礼に用いられるしで(四手・垂・幣)の語と類縁乃至同義。
四手(垂・幣)の語源については、しづ(垂)の連用形の名詞化、シダレ(垂・繁垂)の反などの説があリ、四手は当て字という(『日本国語大辞典 第二版』)。
植物名のシデの語源は四手(垂・幣)の語源と同じく、雄花序或は果穂が多数しだれる様子から。
牧野は次のように言う、「しでハ未ダ其明解ヲ見ザレドモ是レ或ハ其繁茂セル枝ヨリ盛ンニ多數垂下スル果穗ノしだれる姿ニ觀テ斯ク名ケシニ非ザル乎卽チしだれハ縮メバしでト成ルナリ、或ハ又其垂下セル果穗ノ四手(木綿或ハ紙ヲ用フ)ニ似タレバ云フトモ考ヘ得ベシ」(『牧野日本植物図鑑』あかしで条)。 |
「ソネ・ソノ・ソロは皆同系の語と考えられる、いずれがもとか断案を下すに苦しむ」。またクロソネ・シロソネ・イシゾネ・ホンソネなどの派生語があり、クマシデ・イヌシデ・アカシデ・サワシバなどを指すが、地方により呼び方は様々であるという(武田久吉『民俗と植物』)。 |
「和名熊しでハ、樹勢強壯ナルヨリ云フ乎、大そねモそね卽チいぬしでヨリ壯大ナル故云ヒ、石そね幷ニ堅しでハ共ニ其材堅クシテ炭ト作スニ佳ナレバ云フト謂フ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
説 |
本州(岩手以南)・四国・九州に分布。 |
誌 |
薪炭材として利用。 |
ソロの木のまだ稚(をさな)きが五本たち山の木原をあひ見る如し
(1941,齋藤茂吉『霜』)
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