辨 |
変異が多く、花の色、形など極めて多様な園芸品種がある。 |
フヨウ属 Hibiscus(木槿 mùjĭn 屬)の植物については、フヨウ属を見よ。 |
訓 |
「和名ハ漢名ノ一ナル佛桑ニ基キ之レニ花ヲ加ヘタルモノナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)32に、扶桑は「仏桑花通名 琉球ムクゲ」と。 |
漢名の扶桑は、『山海経』などに載る神話では、東方の日の出るところに生えている神木(下の誌を見よ)。 |
種小名は、「中国のバラ」。 |
説 |
原産地は不明、インド洋諸島あるいは東南アジア原産の熱帯性の雑種植物ともいう。野生種は発見されていない。
東アジアでは、琉球・臺灣・福建・兩廣・四川・雲南・インドシナに分布。 |
琉球には、古くからあるが、いつどこから入ったか不明。
本州本には、慶長(1596-1615)年間に入る。一説に、寛永8年(1641)薩摩藩が徳川家康に献上したのが、日本における初見という。 |
ヨーロッパには18世紀前半に入る。
リンネは中国起源と考え、1853年に上記の学名を附与した。 |
今日の園芸品種としてのハイビスカス Hibiscus hybridus(E.Hawaian hibiscus)は、20世紀にハワイで作られた(最初の交配記録は1872)。
ハワイに自生する
H. arnottianus オアフ島原産、白花
H. clayii ハワイ諸島原産
H. kokio 橙色の花、ハワイ諸島原産
H. punaluvensis ハワイ諸島原産
H. waimeae 白花
など5-8種の相互交雑に、他地域産の
H. storckii フィジー諸島産
ブッソウゲ H. rosa-sinensis 中国から入る
H. liliflorus インド洋マスカリン諸島産
H. genevii インド洋モーリシャス島原産
フウリンブッソウゲ H. schizopetalus インド洋ザンジバル島産
などを交配して作られ、今日では品種数は3000とも4000ともいう。 |
誌 |
茎皮から繊維を取り、赤花種の瓣を食用染料にする。
中国では、根・葉・花を薬用にする。『全国中草葯匯編』下/303-304 |
『梁書』54扶桑国記に、斉・永元元年(499)扶桑国の僧侶慧深が荊州にやってきて云うには、「扶桑は大漢国の東二万余里に在り、地は中国の東に在り。其の土、扶桑の木多し、故に以て名と為す。扶桑は、葉は桐に似て、初めて生うるや筍の如く、国の人之を食う。実は梨の如くして赤し。其の皮を績ぎて布を為り、以て衣と為し、また以て綿と為す」と。
国名としての扶桑は、歴史的には日本の別称となったが、最近の説では メキシコあたりかともいう。
植物としての扶桑は、まったく不明。前漢における扶桑のイメージが、「昇仙図」(湖南省長沙馬王堆出土、湖南省博物館)に遺る。
扶桑がブッソウゲを指すようになったのは明代から。李時珍『本草綱目』(ca.1596)に載るほか、徐渭(1521-1593)に「聞里中有買得扶桑花者四首」詩(『徐文長三集』7)がある。 |
ブッソウゲは沖縄市の花。ハイビスカスはハワイ州の花、マレーシア国花。 |