しゅんらん (春蘭) 

学名  Cymbidium goeringii (C. forrestii)
日本名  シュンラン
科名(日本名)  ラン科
  日本語別名  ホクロ(ホクリ・エクリ・ハクリ)、ジジババ
漢名  春蘭(シュンラン,chūnlán)
科名(漢名)  蘭科
  漢語別名  草蘭(ソウラン,caolan)、山蘭(サンラン,shanlan)、朶朶香(ダダコウ,duoduoxiang)
英名  Goering cymbidium

2009/04/20 仙台市東北大学植物園 (自生)

2006/03/21 神代植物公園
 (植栽)

2006/03/26 薬用植物園 (植栽)

2006/01/15 小平市 (植栽) 2006/03/02 同左
2006/03/30 同上
2004/04/15  同上

 中国では、次のような変種を区別する。
   var. goeringii(春蘭)
 下欄を見よ 
   var. longibracteatum(春劔)
 中国西南産 
   var. serratum(綫葉春蘭)
 春蘭に同 
   var. tortisepalum(營草蘭)
 臺灣・雲南(西部)産 
 また、中国では古くから観賞用に栽培せられ、品種改良が施されてきた。
 はなびらの形により
梅瓣
荷瓣
水仙瓣
蝶瓣
に分け、それぞれに素心などの型を区別する。  
 シュンラン属 Cymbidium(蘭 lán 屬)の植物は、アジア乃至オーストラリア・ニューギニアの温帯乃至熱帯に分布。種の分類が細かくなっていたものを、近年44種に整理し、日本には7種を産する、という(『週刊朝日百科 植物の世界』9-133)
 シュンラン属 Cymbidium(蘭 lán 屬)のうち、東アジアに産するものを東洋蘭と呼び、次のようなものがある。
   C. aloifolium(紋瓣蘭)
   アキザキナギラン C. aspidistrifolium
        
日本(本州紀伊半島・四国・九州・琉球)・朝鮮(済州島)・臺灣産 
   C. bicolor(硬葉蘭)
   C. cochleare(垂花蘭)
   C. cyperifolium(莎葉蘭・套葉蘭)
   ヘツカラン(カンポウラン) C. dayanum(冬鳳蘭・垂蘭)
     ヘツカラン var. austrojaponicum
   C. defoliatum(落葉蘭)
   C. eburneum(獨占春)
   C. elegans(莎草蘭)
   スルガラン
(オラン) C. ensifolium(建蘭・秋蘭・八月蘭・官蘭;E.Cymbidium)
     var. ensifolium(彩心建蘭)
 『中国本草図録』Ⅳ/1948
     var. susin(素心建蘭)
   C. erythraeum(長葉蘭)
   C. faberi(蕙蘭・九子蘭・九節蘭・土百部・化氣蘭)
   C. floribundum(C. pumillum;多花蘭・夏蘭)
  『雲南の植物Ⅱ』270・『中国本草図録』Ⅱ/0945
   C. giganteum(黄蟬蘭)
   シュンラン C. goeringii(C.virescens;春蘭・朶朶香・草蘭・山蘭)
       
中国の春蘭を、シナシュンラン C.forrestii とすることがある。
     var. serratum(綫葉春蘭)
     var. longibracteatum(春劔)
   ギョクチンラン C. gyokuchin
     ソシンラン var. soshin
   C. hookerianum(虎頭蘭・靑蟬蘭)
 『雲南の植物Ⅱ』270
     var. lowianum(碧玉蘭)
   C. insigne(美花蘭) 
インドシナ高地産 
   C. iridioides(黃蝉蘭)
   C. javanicum
   カンラン C. kanran(寒蘭)
 『雲南の植物Ⅱ』272
   コラン C. koran 
   ナギラン C. lancifolium(兔耳蘭)
『週刊朝日百科 植物の世界』9-134
     アキザキナギラン var. aspidistrifolium 
   C. lowianum(碧玉蘭)
   マヤラン C. macrorhizon(C. nipponicum;大根蘭・腐生蘭)
   ナギラン C. nagifolium
日本(本州関東以西・四国・九州・琉球)・朝鮮産 
   C. mastersii(大雪蘭)
   C. nanulum(珍珠蘭)
   サガミラン
(サガミランモドキ) C. nipponicum(C.aberrans) マヤランの白花品 
   C. pendulum(硬葉吊蘭・劔蘭・樹茭瓜) 『中国本草図録』Ⅷ/3950
   C. pumillum → C. floribundum 
   C. qiupeiense(邱北冬蕙蘭)
   ホウサイラン C. sinense(墨蘭・報春蘭・豐歳蘭・報歳蘭)
 『中国本草図録』Ⅲ/1447 
   C. suavissimum(果香蘭)
   C. sinense(墨蘭)
   C. tigrinum(斑舌蘭)
   C. tracyanum(西藏虎頭蘭)
   C. wenshanense(文山紅柱蘭)
   C. wilsonii(滇南虎頭蘭)
  
 上記に対して、シュンラン属の植物のうち、熱帯産のものを西洋で改良したものを、シンビジウムと呼びならわす。
 ラン科 Orchidaceae(蘭科)については、ラン科を見よ。
 漢名(和名)は、3月-4月に花を開くことから。
 和名は、漢名の音。
 別名のホクロは、花弁の紫色の斑点を黒子
(ほくろ)に擬えて。ただし、一説にホクロは独頭蘭の意で、一茎一花であることから、ともいう。
 ジジババは、花の中心にある蕊柱を男に見立て、その下の唇瓣を女に見立てて、という。
 日中における蘭の字の意味の変遷については、東洋蘭の訓を見よ。
 日本(北海道奥尻島・本州・四国・九州)・朝鮮(済州島)・中国(甘肅南部・陝西南部・河南南部・安徽・江蘇・浙江・江西・福建・兩湖・廣西・廣東北部・四川・西藏・雲南)・臺灣・ヒマラヤに分布。
 埼玉県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)。
 広く観賞用に栽培する。花の色をはじめとして変異が多く、日本・中国で 多くの栽培型が作られている。
 日本では、江戸時代から 観賞用の栽培をはじめた。
 繁殖は、株分け・播種・組織培養などによる。
 栽培上の注意として、中国では「春不出、夏不日、秋不乾、冬不湿」を説く。
 花は、茹でてお浸しなどにして食う。
 また花を塩漬けにし、湯飲みに入れて桜湯のようにして飲むと香りが甦る。かつて伊豆の名産であったという。
 中国では、スルガラン C. ensifolium(建蘭)・C. floribundum(多花蘭)・シュンラン C. goeringii(山蘭)の根・全草を、蘭草・蘭花と呼び、薬用にする。
 日本では、『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「春蘭 初中。葉ハらんのちさき物にて、花形もらんのごとし」と。
 僕は水を汲んでの帰りに、水筒(すいづつ)は腰に結いつけ、あたりを少し許り探って、「あけび」四五十と野葡萄(えびづる)一もくさを採り、龍膽(りんどう)の花の美しいのを五六本見つけて帰ってきた。帰りは下りだから無造作に二人で降りる。畑へ出口で僕は春蘭の大きいのを見つけた。
 「民さん、僕は一寸『アックリ』を掘ってゆくから、此の『あけび』と『えびづる』を持って行って下さい」
 「『アックリ』て何にい。あらア春蘭じゃあありませんか」
 「民さんは町場もんですから、春蘭などと品のよいことを仰しゃるのです。矢切の百姓なんぞは『アックリ』と申しましてね。皸
(ひび)の薬に致します。ハハハハ」
 「あらア口の悪いこと。政夫さんは、きょうはほんとに口が悪くなったよ」

   
(伊藤左千夫『野菊の墓』1906)

中国春蘭  2006/03/02 小平市

中国春蘭展より
  2006/02/18 神代植物公園
梅瓣
荷瓣

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