ゆり (百合・由利) 

   辨: ユリ科
      旧ユリ科
      ユリ属
      ハイブリッドユリ
   
   

 ユリ科 Liliaceae(百合 bǎihé 科)は、かつては約220-240属 3500-4000種の植物を包含する大きな科であった。今日のAPG分類体系では、幾つかの目に分けられるなど、おおきく再編成されている。

 今日のユリ科 Liliaceae(百合科)は、かつてのユリ亜科 Lilioideae と、これに近縁な属とからなる。世界に15-16属 約650-700種がある。
  アマナ属 Amana(老鴉瓣屬)
  ミツビシユリ属 Calochortus(仙燈屬)
  ウバユリ属 Cardiocrinum(大百合屬)
  ツバメオモト属 Clintonia(七筋姑屬)
    ツバメオモト C. udensis(七筋姑)
       
日本(北海道・本州奈良県以北)・朝鮮・中国(東北・西南)・ヒマラヤ・南千島・樺太・シベリア東部に分布 
  カタクリ属 Erythronium(猪牙花屬)
  バイモ属 Fritillaria(貝母屬)
  キバナノアマナ属 Gagea(頂冰花屬)
 旧世界の温帯に約90種、中国には19種 
    キバナノアマナ G. nakaiana(頂冰花)
        
日本(北海道・本州・四国・九州)・朝鮮・中国(東北)・ロシアに分布 
    エゾヒメアマナ G. vaginata
 北海道・南千島産 
  ユリ属 Lilium(百合屬)
  チシマアマナ属 Lloydia(洼瓣花屬)
  アメリカトウチクラン属 Prosartes(寶仙草屬)
  タケシマラン属 Streptopus(扭柄花屬)
  ホトトギス属 Tricyrtis(油點草屬)
  チューリップ属 Tulipa(鬱金香屬)

 参考のために、以下に 旧ユリ科に属せられた主な属名を列挙しておく。

   アガパントゥス属 Agapanthus(百子蓮屬)
   ケイビラン属 Alectorurus
         → キジカクシ目キジカクシ科ケイビラン属 Comospermum
   ソクシンラン属 Aletris(粉條兒菜屬) → ヤマノイモ目キンコウカ科
   ネギ属 Allium(葱屬)
   アロエ属 Aloe(蘆薈屬)
   ユリズイセン属 Alstroemeria(六出花屬)
   アマナ属 Amana(老鴉瓣屬)
   アマリリス属 Amaryllis(朱頂蘭屬)
   ハナスゲ属 Anemarrhena(知母屬)
   Anthericum(蜘蛛百合屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   クサスギカズラ属 Asparagus(天門冬屬)
   Asphodeline → キジカクシ目ススキノキ科
   ツルボラン属 Asphodelus → キジカクシ目ススキノキ科
   ハラン属 Aspidistra(蜘蛛抱蛋屬)
   Brodiaea(布羅地屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   Camassia(卡瑪百合屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   ウバユリ属 Cardiocrinum(大百合屬)
   Chamaelirium → ユリ目シュロソウ科
   Chionodoxa(雪寶花屬) → キジカクシ目キジカクシ科オオツルボ属 Scilla に包含
   シライトソウ属 Chionographis(白絲草屬)
   オリヅルラン属 Chlorophytum(吊蘭屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   ツバメオモト属 Clintonia(七筋菇屬) → ユリ目ユリ科
   クンシラン属 Clivia(君子蘭屬)
   イヌサフラン属 Colchicum(秋水仙屬)
   スズラン属 Convallaria(鈴蘭屬)
   Cordyline(朱蕉屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   ハマオモト属 Crinum(文殊蘭屬) → キジカクシ目ヒガンバナ科
   キンバイザサ属 Curculigo(仙茅屬)
   Daiswa → ユリ目シュロソウ科
   キキョウラン属 Dianella(山菅屬) → キジカクシ目ススキノキ科
   Dichelostemma → キジカクシ目キジカクシ科
   ホウチャクモドキ属 Disporopsis(假萬壽竹屬)
   チゴユリ属 Disporum(萬壽竹屬)
   リュウケツジュ属 Dracaena(龍血樹屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   Eremurus(獨尾草屬) → キジカクシ目ススキノキ科
   カタクリ属 Erythronium(猪牙花屬)
   アマゾンユリ属 Eucharis(亞馬遜石蒜屬)
   ホシオモト属 Eucomis
   バイモ属 Fritillaria(貝母屬)
   キバナノアマナ属 Gagea(頂冰花屬) → ユリ目ユリ科
   マツユキソウ属 Galanthus
   Galtonia(夏風信子屬)
         → キジカクシ目キジカクシ科 オオアマナ属 Ornithogalum に包含
   キツネユリ属 Gloriosa(嘉蘭屬) → ユリ目イヌサフラン科
   ハエマントゥス属 Haemanthus(鋼球花屬)
   Helonias → ユリ目シュロソウ科
   ショウジョウバカマ属 Heloniopsis(胡麻花屬)
   ワスレグサ属 Hemerocallis(萱草屬)
   カラスバサンキライ属 Heterosmilax(肖菝葜屬)
         → ユリ目サルトリイバラ科サルトリイバラ属 Smilax に包含
   ヒッペアストルム属 Hippeastrum(孤挺花屬)
   ギボウシ属 Hosta(玉簪屬)
   ツリガネズイセン属 Hyacinthoides
   ヒアシンス属 Hyacinthus(風信子屬)
   ヒュメノカリス属 Hymenocallis(水鬼蕉屬)
   コキンバイザサ属 Hypoxis(小金梅草屬)
   ハナニラ属 Ipheion(春星花屬)
   ホンサンジコ属 Iphigenia(山慈姑屬) → ユリ目イヌサフラン科
   オゼソウ属 Japonolirion  → サクライソウ目サクライソウ科
   キヌガサソウ属 Kinugasa → ユリ目ユリ科
   シャグマユリ属 Kniphofia(火把蓮屬) 
   Lachenalia(非洲蓮香屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   レウコユム属 Leucojum
   ユリ属 Lilium(百合屬)
   ヤブラン属 Liriope(土麥冬屬・麥冬屬)
   Littonia  → ユリ目イヌサフラン科キツネユリ属 Gloriosa に包含
   チシマアマナ属 Lloydia(洼瓣花屬)
   ヒガンバナ属 Lycoris(石蒜屬)
   マイヅルソウ属 Maianthemum(舞鶴草屬)
   Melanthium → ユリ目シュロソウ科
   ノギラン属 Metanarthecium  → ヤマノイモ目キンコウカ科
   ムスカリ属 Muscari(藍瓶花屬)
   スイセン属 Narcissus(水仙屬)
   キンコウカ属 Narthecium
   Nomocharis(豹子花屬) → ユリ目ユリ科ユリ属 Lilium に包含
   ハナタケニラ属 Nothoscordum → キジカクシ目ヒガンバナ科
   ジャノヒゲ属 Ophiopogon(沿階草屬)
   オオアマナ Ornithogalum(虎眼萬年靑屬)
   ツクバネソウ属 Paris(重樓屬)
   Peliosanthes(球子草屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   Petrosavia(無葉蓮屬) → サクライソウ目サクライソウ科
   ナルコユリ属 Polygonatum(黄精屬)
   Prosartes → ユリ目ユリ科
   キチジョウソウ属 Reineckea(吉祥草屬)
   オモト属 Rohdea(萬年靑屬)
   ナギイカダ属 Ruscus(假葉樹屬)
   チョウチンユリ属 Sandersonia(燈籠百合屬)
   チトセラン属 Sansevieria(虎尾蘭屬)
   オオツルボ属 Scilla(棉棗兒屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   ユキザサ属 Smilacina(鹿藥屬)
         → キジカクシ目キジカクシ科マイヅルソウ属 Maianthemum に併合
   サルトリイバラ属(シオデ属) Smilax(菝葜属)
   Sprekelia → キジカクシ目ヒガンバナ科
   タケシマラン属 Streptopus(扭柄花屬)
   Thysanotus(異蕊草屬) → キジカクシ目キジカクシ科
   チシマゼキショウ属 Tofieldia(巖菖蒲屬)
   ホトトギス属 Tricyrtis(油點草屬)
   エンレイソウ属 Trillium(延齡草屬)
   チューリップ属 Tulipa(鬱金香屬) → ユリ目ユリ科
   カイソウ属 Urginea(海葱屬)
   ウウラリア属 Uvularia(顎花屬)
   シュロソウ属 Veratrum(藜蘆屬)
   Ypsilandra(丫蕊花屬)
         → ユリ目シュロソウ科ショウジョウバカマ属 Heloniopsis に包含
   イトラン属 Yucca(絲蘭屬)
   タマスダレ属 Zephyranthes(玉簾屬)
  
 ユリ属 Lilium(百合屬)には、北半球の温帯を中心に約100-130種がある。
 日本には、15種が自生し、7種は固有種。
   ウケユリ L.alexandrae(L.japonicum var.alexandrae)
         日本(奄美大島とその属島)に分布。『週刊花百科』ゆり1(2004,講談社)p.11
   コマユリ L.amabile(L.fauriei;秀麗百合)
         朝鮮・中国(東北)に分布。『週刊花百科』ゆり2(2004,講談社)p.9
   L.amoenum(玫红百合) 中国(雲南)に分布。『雲南の植物』17
   ヤマユリ L.auratum(天香百合) 日本(本州の東北から近畿)に自生
     サクユリ(タメトモユリ) var.platyphyllum(L.platyphyllum) 
        日本(伊豆七島)に分布。『週刊花百科』ゆり1(2004,講談社)p.4
   タツタユリ L. batemanniae
   L.bakerianum(滇百合) 中国(雲南・四川)・ビルマに分布。『雲南の植物』19・『中国本草図録』Ⅸ/4419
     var. rubrum
『週刊朝日百科 植物の世界』10-2
     var.yunnanense 『雲南の植物』19
   L. bolanderi
米国(オレゴン南部乃至カリフォルニア北部)産
   L. brownii(山百合・野百合)
『中国本草図録』Ⅹ/4933
     ハカタユリ var.viridulum(var.colchesteri;百合・野百合・山百合・
        藥百合・家百合・喇叭筒)
『中薬志Ⅰ』pp.204-209
        中国(河北・山西・甘肅・陝西・河南・両湖・江西・安徽・浙江)に分布。
        日本には 鎌倉時代に食用として博多に渡来
        『雲南の植物Ⅱ』254・『中国本草図録』Ⅰ/0418・『週刊花百科』ゆり2(2004,講談社)p.6
   L. bulbiferum
ヨーロッパ中央部産、特にアルプス・チロルに多い。『週刊朝日百科 植物の世界』10-13
   ノヒメユリ(スゲユリ) L. callosum(條葉百合) 
        日本(四国・九州)・琉球・朝鮮・中国(東北・河南・浙江・安徽・江蘇・廣東)・臺灣・アムールに分布
     キバナノヒメユリ(キスゲユリ) var.flaviflorum 日本(沖縄)に分布
   L. canadense
カナダ(ケベック)乃至米国(ウェストバージニア)に分布
   ニワシロユリ(マドンナリリー) L. candidum(E.Madonna lily, Annunciation lily)
        
 ヨーロッパの白百合。イスラエル北部原産、ローマ軍により全ヨーロッパにもたらされた
   マツバユリ L. cernuum(垂花百合)
        朝鮮・中国(東北)・ウスリーに分布。『週刊花百科』ゆり2(2004,講談社)p.9
   ヒメユリ L. concolor(L.concolor var.partheneion, L.buschianum;渥丹山丹) 
        日本(東北地方南部以南)・朝鮮・中国(陝西・河北・河南・山東)・アムールに分布
        『中国本草図録』Ⅴ/2415
     キヒメユリ f. coridion
     チョウセンヒメユリ var. pulchellum(有斑百合)
         中国(東北・山東・河北・山西・内蒙古)に分布。『中国本草図録』Ⅳ/1930
   ダルハンソニー L. dalhansonii
   エゾスカシユリ L. dauricum(L.maculatum ssp.dauricum, L.pensylvanicum,
        L.sachalinense;毛百合・卷蓮花・卷蓮百合)
         日本(北海道)・朝鮮・中国(東北・河北)・千島・樺太・カムチャツカ・ダフリアに分布
        『中国本草図録』Ⅳ/1931。花壇地錦抄「草花 夏之部」にゑぞゆり
   L. davidii(川百合・西北百合・大衞百合)
         中国(河南・山西・陝西・甘肅・四川・雲南)に分布。『雲南の植物』20・『中国本草図録』Ⅸ/4420
   チョウセンクルマユリ L. distichum(東北百合・閃浪花・輪葉百合)
         中国(東北)に分布。『中国本草図録』Ⅴ/2414・『週刊朝日百科 植物の世界』10-4
   L. duchartrei(寶興百合・野百合)
         中国(西藏・四川・甘肅)に分布。『雲南の植物』18・『中国本草図録』Ⅸ/4421
   L. fargesii(綠花百合) 中国(陝西・湖北・四川・雲南)に分布
   タカサゴユリ L. formosanum(L.philippinense var.formosanum;臺灣百合) 臺灣に分布
   シンテッポウユリ L.×formolongi テッポウユリとタカサゴユリの雑種
   タケシマユリ L. hansonii(竹葉百合)
         鬱陵島(竹島)に自生、日本で古くから栽培。花壇地錦抄「草花 夏之部」にあり。
           『週刊花百科』ゆり2(2004,講談社)p.9

   キカノコユリ L. henryi(湖北百合)
         中国(湖北・貴州)に分布。『週刊花百科』ゆり1 p.8・ゆり2 p.6(2004,講談社)
   ササユリ
(サユリ・ヤマユリ) L. japonicum 日本(本州中部以西・四国・九州)に分布
     ベニバナササユリ f. purpureum
     ジンリョウユリ var. abeanum 日本(徳島県)に分布
     var. alexandrae → L. alexandrae
     ニオイユリ(ヨウキヒユリ) var. angustifolium 
   オニユリ(テンガイユリ) L. lancifolium(L.tigrinum;卷丹)
         日本(全国、ただし古く中国から渡来したものか)・朝鮮・中国(ほぼ全国)に分布
     オウゴンオニユリ var.flaviflorum 
日本(対馬)に産
   L.lankongense(瀾江百合) 中国(西藏)に分布
   キヒラトユリ(キバナノコオニユリ) L.leichtlinii f. leichtlinii(檸檬色百合)
         日本(本州・四国・九州・沖縄)に稀に自生、中国には無い
     コオニユリ f. pseudotigrinum(var.maximowiczii, var.tigrinum,
         L.pseudotigrinum;大花卷丹・山丹花)
         日本・朝鮮・中国(東北)・ウスリーに分布。『中国本草図録』Ⅳ/1932
   L. leucanthum(宜昌百合)
   テッポウユリ(タメトモユリ・リュウキュウユリ・サツマユリ・ツツナガユリ)
         L. longiflorum(麝香百合・鐵炮百合・岩百合)
         日本(薩南諸島・琉球)に分布、中国(兩廣・貴州)・臺灣で栽培
   L. longiscapa ヒマラヤ産、『週刊朝日百科 植物の世界』10-1
   L. lophophorum(尖被百合) 中国(雲南・四川)に分布
           『雲南の植物』21
・『中国本草図録』Ⅷ/3938・『週刊花百科』ゆり2(2004,講談社)p.7
   スカシユリ(イワトユリ) L. maculatum 日本の本州(紀伊半島・新潟県以北)に自生
     ミヤマスカシユリ var. bukosanensis
     ヤマスカシユリ var. monticola
   マルタゴンユリ L.martagon(歐洲百合・帽子花)
        ヨーロッパ乃至シベリア、中国ではアルタイ山脈に分布
        『週刊朝日百科 植物の世界』10-5
   クルマユリ L.medeoloides(浙江百合)
         日本(北海道・本州近畿以北・四国剣山)・朝鮮(済州島)・中国・千島・樺太・カムチャツカに分布
     クロバナクルマユリ f. atropurpureum
     フナシクルマユリ f. immaculatum
     サドクルマユリ var.sadoinsulare 日本(佐渡金北山)に自生
   L.nanum(小百合・矮莖百合)中国(西藏東南・雲南西北・四川西部)・ネパール・ブータン・シッキムに分布
           『週刊朝日百科 植物の世界』10-9

   ウコンユリ L. nepalense(紫斑百合) ヒマラヤに分布。
           『週刊朝日百科 植物の世界』10-10・
『週刊花百科』ゆり2(2004,講談社)p.6

     ジャコウユリ var. ochraceum(赭黄百合)
 四川・貴州・雲南。『雲南の植物Ⅱ』256
   タモトユリ L. nobilissimum 日本(トカラ列島口之島)に自生。花壇地錦抄「草花 夏之部」にあり
   パークマニー L. parkmannii
   ルソンユリ L. philippinense
     var. formosanum → L. formosanum
   L. primulinum(報春百合)
         var. ochraceum 『雲南の植物』23
   イトハユリ L. pumilum(L.tenuifolium;山丹細葉百合)
         中国(東北・内蒙古・河北・山東・河南・山西・寧夏・陝西・甘肅・靑海)に分布。『中薬志Ⅰ』pp.204-209
        『中国本草図録』Ⅱ/0917・『中国雑草原色図鑑』353・『週刊朝日百科 植物の世界』10-3
   L. pyrenaicum
ピレネー産
   オウカンユリ(リーガルリリー) L. regale(王百合・王香百合・峨眉百合・岷江百合)
         中国(西南)に分布、北京・上海などで栽培。ヨーロッパには20世紀に入る
         『週刊朝日百科 植物の世界』10-11・『週刊花百科』ゆり2(2004,講談社)p.6

   ヒメサユリ(オトメユリ) L. rubellum 日本(山形・福島・新潟県境)に自生
   L. souliei(紫花百合) 『雲南の植物』21
   カノコユリ L. speciosum(美麗百合) 
     シラタマユリ f. kratzeri(f.vestale, var.tametomo) 
     シマカノコユリ var. speciosum
     タキユリ var. clivorum 
     タイワンカノコユリ var. gloriosoides(藥百合・鹿子百合)
   L. taliense(大理百合)
         中国(陝西・四川・雲南・貴州)に分布。『雲南の植物』22・『中国本草図録』Ⅷ/3939
   チョウセンカサユリ L. tsingtauense(靑島百合) 朝鮮・中国(山東)に分布
   L. wardii(卓巴百合) 中国(西藏東南部)に分布
   L. washingtonianum
米国(オレゴン乃至シエラネバダ山脈)産 
 19世紀以来、ユリには多くの園芸品種が作り出されてきた。それらは、次の8つの交雑グループと、さらにそれらを掛け合わせた品種群からなる。
   トランペット・ハイブリッド(T)
 中国のユリを中心に作られた交雑品種。
   オリエンタル・ハイブリッド(O)
日本固有種を親にする交雑品種。強い芳香がある。
     カサブランカ、ソルボンヌなど。
   ロンギフロールム・ハイブリッド(L)
 テッポウユリ・タカサゴユリなどを親とする交雑品種。
   アジアティック・ハイブリッド(A)
 エゾスカシユリ・イワトユリに中国・朝鮮産のユリを交雑した品種。
   マルタゴン・ハイブリッド
 マルタゴンユリ・タケシマユリを親とする交雑品種。
   カンディドゥム・ハイブリッド
 マドンナリリー・カルケドニウムなどヨーロッパ産のユリを親とする交雑品種。
   アメリカン・ハイブリッド
北アメリカ産のユリを親とする交雑品種。
   その他のハイブリッド 
    OT
オリエンタルハイブリッド×トランペットハイブリッド
    LO
ロンギフロールムハイブリッド×オリエンタルハイブリッド
    OA
オリエンタルハイブリッド×アジアティックハイブリッド
    LA
ロンギフロールムハイブリッド×アジアティックハイブリッド 
 なお、ウバユリウバユリ属 Cardiocrinum(大百合屬)、クロユリ(黒百合)バイモ(貝母)
 和名について:
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)百合に、「和名由利」と。
 源順『倭名類聚抄』
(ca.934)百合に、「和名由里」と。
 属名 Lilium は、ケルト語の li(白い色)+ lium(花)に基づく。コプト語でも hleli であるよし。
 英名lily は、ラテン語から。
 ただし、英名を lily という植物はユリ属とは限らず、含意は広い。英名索引から検索されたい。
 
 地下の鱗茎を食用にするのは、日本ではオニユリ・コオニユリ・ヤマユリ・ハカタユリ・タケシマユリなどを用いる。

 中国では、食用にするために栽培するゆりを家百合 jiabaihe と総称し、
   ヤマユリ L. auratum(天香百合)
   ヒメユリ L. concolor(渥丹)
   オニユリ L. tigrinum(卷丹)
   ハカタユリ L. brownii var. viridulum(百合)
などを用いる。
 ただし、日本では生の鱗片を調理するが、中国では茹でて乾燥したものを用いる。
 中国では、次のものの地下の鱗茎を百合(ヒャクゴウ,bohe,baihe;別名は菜百合・藥百合・野百合・家百合・杜百合)と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.204-209
   ハカタユリ L.brownii var.viridulum(var.colchesteri;百合)
      『雲南の植物Ⅱ』254・『中国本草図録』Ⅰ/0418
   L.tenuifolium(細葉百合)
   ヒメユリ L.concolor(L.concolor var.partheneion;渥丹・山丹)
 『中国本草図録』Ⅴ/2415 
 日本におけるユリの語の初見は、『古事記』。
 神武天皇が狭井
(さゐ)河のほとりに伊須気余理比売(いすけよりひめ)を訪れて「一宿御寝し坐しき」の文に、割注として、「其の河を佐韋河と謂ふ由は、其の河の辺に山由理草多に在りき。故、其の山由理草の名を借りて佐韋河と号けき。山由理草の本の名は佐韋と云ひき」とある。
 『日本書紀』24皇極天皇3年に、「夏六月癸卯朔に、大伴馬飼連(おほとものうまかひのむらじ)、百合の花を献れり。其の茎の長さ八尺。其の本(もと)異にして末(すゑ)(あ)へり」と。
 『万葉集』に ゆり・さゆりと詠われているものは、ヤマユリまたはササユリであろうという。文藝譜を見よ。
 「又ゆりの根を塩湯にてゆびき、菓子に用ひてよし。吸物、にしめ物かれ是料理おほし」(宮崎安貞『農業全書』1697)。

   草むらや百合は中々花の貌 
(半残)
   空つりやかしらふらつく百合の花 
(「病後」,何処)
   すゝ風や我より先に百合の花 
(乙州,以上3句『猿蓑』1691)

   かりそめに早百合生けたり谷の房 
(蕪村,1716-1783)
 
 
  まぢかくに雲のただよふ山のかひ黒き百合の実食
(は)みつつゆけり
     
(1931「上山(かみのやま)雑吟 九月十九日沢庵禅師の遺跡を訪ふ」,齋藤茂吉『石泉』)
        さて、黒い実を食べたとは、なにユリであろう。あるいは、オニユリのむかごの意であろうか。

 
 聖書には、しばしばユリが登場する。
 『旧約聖書』雅歌に出てくるユリは、じつはヒヤシンスであったろう、とする説が有力。
 ナザレ人のイエスが活動した地、パレスチナに生えるユリは、
   ニワシロユリ L. candidum (E. Madonna lily
「聖母の百合」, Annunciation lily「受胎告知の百合」)
   L. chalcedonicum
の二種であるという。
 しかし、『新約聖書』マタイ伝6
28に出てくる「野の花・野の百合 the lilies of the field」がどのような植物を指したのかについては、諸説がある。上記の二種類のユリもその候補の一であるが、アネモネ(ボタンイチゲ) Anemone coronaria とする説が有力。



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