しもくれん (紫木蓮) 

学名  Magnolia quinquepeta (M. liliflora)
日本名  シモクレン
科名(日本名)  モクレン科
  日本語別名  モクレン、モクレンゲ
漢名  辛夷(シンイ,xīnyí)
科名(漢名)  木蘭(ボクラン,mulan)科
  漢語別名  紫玉蘭(シギョクラン,ziyulan)、木筆(ボクヒツ,mubi)、望春花、木蘭
英名  Lily tree, Lily magnolia, Purple magnolia
2007/03/28 調布市

 モクレン科 Magnoliaceae(木蘭科)は、かつて16属に細分する説などがあったが、分子系統解析に基づく今日の説では、次の2属に分つ。

   ユリノキ属 Liriodendron(鵝掌楸屬)
   モクレン属 Magnolia(木蘭屬)
 
 モクレン属 Magnolia(木蘭屬)の植物には、東・東南アジア及び北米大西洋岸に約300種がある。

   キモクレン M. acuminata
北アメリカ東部産
   M. albosericea(絹毛木蘭)
   M. amoena(天目木蘭)
   M. biondii(M.fargesii,M.aulacosperma;望春玉蘭・望春花・辛夷・法氏辛夷・綫萼辛夷)
     
 『中国本草図録』Ⅴ/2102
   M. campbellii(滇藏木蘭・滇藏玉蘭)
ヒマラヤ産。『週刊朝日百科 植物の世界』9-112
   M. championii(香港木蘭)
 『雲南の植物Ⅲ』38
   シラタマモクレン
(トキワレンゲ) M. coco(夜合花・夜香木蘭・合歡花)
     
 『中国本草図録』Ⅵ/2609
   M. cylindrica(黃山木蘭)
   M. dawsoniana(康定木蘭)
   M. delavayi(山玉蘭・山厚朴)
『中国本草図録』Ⅰ/0070・『雲南の植物Ⅱ』45
   ハクモクレン M. denudata(M.heptapeta;玉蘭・木蘭・望春花・白木蘭・白玉蘭)
     サラサレンゲ var. purpurascens(M. diva;應春花・二月花)
   M. dorsopurpurea → M.×soulangeana
   M. elliptilimba(橢圓葉玉蘭)
   M. fargesii → M.biondii
   M. fistulosa(長葉木蘭)
   ヒメタイサンボク M. glauca
   M. globosa(毛葉玉蘭)
   タイサンボク M. grandiflora(荷花玉蘭・洋玉蘭・大花木蘭・泰山木)
     
北アメリカ産。『中国本草図録』Ⅰ/0071
   M. henryi(大葉玉蘭)
 『雲南の植物Ⅲ』38
   M. kachirachirai(臺灣木蘭)
   コブシ M. kobus(M. praecocissima;日本辛夷・皺葉木蘭)
     キタコブシ var. borealis
   シモクレン(モクレン) M. liliflora(M.quinquepeta;紫花玉蘭・辛夷・紫玉蘭)
       
『中国本草図録』Ⅰ/0072
     トウモクレン(ヒメモクレン) var. gracilis(陜葉紫玉蘭)
   M. lotungensis(樂東木蘭)
   M. nitida(光葉木蘭)
   ホオノキ M. obovata(M.hypoleuca;日本厚朴・和厚朴)
   M. odoratissima(馨香玉蘭)
   コウボク M. officinalis(厚朴 hou4pu3)
 陝西・甘肅・四川・湖北。『中国本草図録』Ⅳ/1641
     var. biloba(凹葉厚朴)
   M. paenetalauma(長葉木蘭)
 『中国本草図録』Ⅸ/4131
   M. pilocarpa(羅田玉蘭)
   M. praecocissima(皺葉木蘭)
   コブシモドキ M. pseudo-kobus
徳島県産の三倍体種
   M. rostrata(長喙厚朴・滇緬厚朴)
   タムシバ
(ニオイコブシ) M. salicifolia
   M. sargentiana(凹葉木蘭)
『中国本草図録』Ⅶ/3116
   M. sieboldii
     オオヤマレンゲ ssp. japonica
     オオバオオヤマレンゲ ssp. sieboldii(天女花・天女木蘭・小花木蘭)
       
 『中国本草図録』Ⅹ/4602
   M. sinensis(圓葉玉蘭・華木蘭) 『中国本草図録』Ⅸ/4132
   ソトベニハクモクレン(ニシキモクレン) M.×soulangeana(M.dorsopurpurea;二喬玉蘭・
        朱砂玉蘭・蘇郎辛夷)
『中国本草図録』Ⅶ/3117・『週刊朝日百科 植物の世界』9-116
   M. sprengeri(武當玉蘭)

   シデコブシ M. stellata(Buergeria stellata;星花木蘭・日本毛木蘭)
     ベニコブシ var. keiskei
   M. tomentosa(星花木蘭)
   ヒメタイサンボク M. virginiana
北アメリカ東部原産
   ウケザキオオヤマレンゲ M.×wieseneri(M.×watsonii)
   M. wilsonii(西康玉蘭・天女花)
 『雲南の植物Ⅰ』54・『中国本草図録』Ⅶ/3118
     var. petrosa(枝子皮)
 『中国本草図録』Ⅶ/3119
   M. zenii(寶華玉蘭)

 なお、旧オガタマノキ属 Michelia(含笑屬)については、旧オガタマノキ属にまとめてある。
 和名モクレンは、漢語木蓮の音だが、漢名を木蓮(ボクレン,mulian,もくれん)という植物は モクレンモドキ属 Manglietia(木蓮屬)の常緑高木 Manglietia fordiana( 『中国本草図録』Ⅹ/4603)
 源順『倭名類聚抄』(ca.934)木蘭に「和名毛久良迩」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』
(1806)30に、「木蘭 モクレンゲ シモクレン」と。
 漢名を辛夷(シンイ,xinyi)というのは、このシモクレンである。日本で辛夷をコブシに当てるのは誤り。
 別名を木筆というのは、蕾の形から。
 木蘭・玉蘭の名については、ハクモクレンを見よ。
 属名 Magnolia は、フランスの植物学者マニョル Pierre Magnol(1638-1715)にちなむ。
 中国原産、福建・湖北・四川・雲南に分布。現在野生は比較的少ないという。
 日本には古くから薬用植物として渡来、のち庭木として栽培する。
 欧米には1790ころ日本からもたらされ、今日ではアメリカ合衆国のルイジアナ・ミシシッピ州の州花。
 雌雄異熟。雄蕊に先立ち、雌蕊が熟す。
 中国では、シモクレン・ハクモクレンM. biondii(M.fargesii,M.aulacosperma;法氏辛夷・綫萼辛夷)の花の蕾を、辛夷・望春花・木筆花・白花樹花・會春花・春花などと呼び、薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.319-323 西北では、樹皮を姜朴と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅲ』p.437 
 唐の王維の輞川荘には辛夷塢と木蘭柴があった。その「辛夷塢」詩に、「木末の芙蓉の花、山中に紅萼を発す」と詠われているから、辛夷はやはりシモクレンであったろう。
 木筆から花を開くというので、明清には文人に愛好されたが、蕾が筆の形に似ているということは、トウモクレンのほうに顕著。
 『花壇地錦抄』(1695)巻三「辛夷(こぶし)のるひ」に、「木蓮花(もくれんげ) 木れんげ白れんげ共ニこぶしのるひ也。木れんげハ、花色黑むらさきにてうるさし」と。


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