辨 |
ゴンズイ属 Euscaphis(野鴉椿 yěyāchūn 屬)は、1属1種、東アジアに次のものがある。
ゴンズイ E. japonica(野鴉椿)
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ゴンズイ属 Euscaphis(野鴉椿屬)を、ミツバウツギ属 Staphylea(省沽油屬)に含める考え方がある。 |
ミツバウツギ科 STAPHYLEACEAE(省沽油科)については、ミツバウツギ科を見よ。 |
訓 |
和名の由来は不明、権萃は当字。一説に、牛王(ごおう)杖の転訛かと云う。
牛王杖とは、熊野牛王の守り札を挟む杖。農民は、田畑の害虫その他の災害を防ぐために、これを地に指した。
牛王の守影は、厄除けとして富士浅間神社・熱田神宮・日吉神社・祇園・東寺・奈良大仏殿・高野山・熊野三山などで授けたが、就中熊野のものは所謂烏牛王であり、霊験あらたかなのものとされ、牛王売はこれを全国に売り歩いた。
牛王杖にする木は、普通はヤナギ・ヌルデなど。紀伊有田ではキブシを用いた。 |
本種のほか、キブシ・コシアブラにゴンズイの別名がある。 |
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)31樗に、「ゴンズイ キツネノチヤブクロ スゞメノチヤブクロ ウメボシノキ ツミクソノキ泉州 ハゼナ土州 クロハゼ同上 ダンギナ紀州 ハナゝ ダンギリ共同上 タンギ勢州 クロクサギ播州 ゴマノキ肥州」と。
ただし、漢名を樗(チョ,chū)というものは、ニワウルシまたはセンダン。 |
説 |
日本(関東以西)・朝鮮(南部)・中国(河北乃至長江流域)・臺灣に分布。 |
誌 |
嫩葉は食用。
中国では、根(野鴉椿根)・花(野鴉椿花)・果或は種子(野鴉椿子)を薬用にし、種子からは油を採る。
日本では、材に臭いがあるので薪にしか用いず、役立たずの木といわれる。 |