新序

 多忙に紛れ、このサイトの維持管理に手が行き届かなくなってから数年が経ちました。その間、筆者は跡見学園を退職し、元のサイトは学園のサーバーから削除されました。近時、そのことを惜んでくださる方々の声が寄せられ、気を取り直して、新たなサイトを作ることにいたしました。
 リフォームに当り力添えをくださる方があり、装釘や使い勝手は格段に改善されましたが、内容は旧来のままです。『跡見群芳譜』というタイトルも、踏襲いたします。中身は、今後少しずつ書き足し、あるいは書き直していく所存です。
 細くとも、永いお付き合いをお願いできれば幸いです。

 
平成30(2018)年5月10日  玉溪草堂主人   



  原序
                                  嶋 田 英 誠  

 跡見学園女子大学の新座キャンパスがある新座市は、埼玉県の南の端、東京都との境に位置します。このキャンパスに集うわたしたち、教職員と学生は、したがって、東京都と埼玉県に生活圏を持っています。ちょうど、昔の武蔵の国の範囲に当ります。
 この群芳譜は、そんな私たちが日常見かける植物たち、つまり武蔵の国のさまざまな植物を、紹介するために編みました。
 わたしは、植物学の専門家ではありませんし、写真のプロでもありません。そんなわたしがこのような譜を編む目的は、わたしの眼に写る植物たちのイメージ集を作ることです。ちょうど二十世紀の後半を生きてきたわたしの心の中にため込まれてきた、いろいろな花たちのイメージ、いまあらためて見つめてみた花たちへの、わたしなりのオマージュ、そんなものが、少しでも皆さんにお伝えすることができれば、本望です。
 心の中の花たちの姿は、網膜に映った像そのものとは異なっていると思いますし、まして図鑑から得られるものとは大きくずれているはずです。「わたしのイメージとは違う」「写真が学問的に参照する意味がない」などなどとお叱りくださいませんように。
 ひとつだけ、心に期するところがあるとしたら、--中国美術史学者の端くれとして--、日本や中国の文化の中で眺められ、親しまれてきた、そんな花の姿の一端を、ご紹介できたらと、祈っています。『群芳譜』という題も、中国の旧例にならいました。力足りず、先例を汚すことになりましょうとも、なにとぞご諒恕ください。
 なお、内容は随時更新したします。ご了承ください。
 
八千種に 草木を植ゑて 時ごとに さかむ花をし 見つつしのばな           
           大伴家持
(『万葉集』巻20/4314)
 
平成18(2006)年4月1日  柳上書屋にて   



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