いとひめはぎ (糸姫萩)

学名  Polygala tenuifolia (P. sibirica var. angustifolia, P. sibirica var. tenuifolia)
日本名  イトヒメハギ
科名(日本名)  ヒメハギ科
  日本語別名  オンジ(遠志)
漢名  遠志(エンシ,yuanzhi,おんじ)
科名(漢名)  遠志科
  漢語別名  細葉遠志(サイヨウエンシ,xiyeyuanzhi)、小草(ショウソウ,xiaocao)、葽繞(ヨウジョウ,yao3rao4)、細草、小鷄腿、綫茶
英名  
2007/06/07 薬用植物園

2008/07/21 薬用植物園
2007/12/25 同上

 ヒメハギ属 Polygala(遠志屬)については、ヒメハギを見よ。
 漢名は、苗を小草といい、根を遠志という(『博物誌』)と。
 根を服すれば能く智を益し、志を強くするので、遠志という
(『本草綱目』)と。
 葽字は、遠志の意味では上声に、狗尾草(エノコログサ)の意味では陰平に読む(『漢語大字典』)
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』8(1806)遠志に、「ヒメハギ コグサ シバハギ スゞメハギ江戸花家 ノチヤ筑前」と。
 朝鮮・中国(東北・河北・河南・山東・山西・陝西・甘肅・内蒙古・安徽・江蘇・福建)・シベリアに分布。
 根を、遠志(おんじ)と呼び薬用にする。『中薬志Ⅰ』pp.234-237日本薬局方。
 『詩経』国風・豳風(ひんぷう)「七月」に、「四月は秀(しげ)れる葽(えう)」とある葽は、遠志。
 『世説新語』排調篇に、次の話が載る。謝安(320-385)が桓温(312-373)の司馬となっていた時のこと、ある人が桓温に薬草を贈ったが、その中に遠志があった。そこで「公(桓温)、取りて以て謝(安)に問へらく、〈此の薬は又た小草と名づく。何ぞ一物にして二称有るや〉と。謝、未だ即答せず。時に郝隆、坐に在り。声に応じて答えて曰く、〈此れ甚だ解し易し。処(お)れば則ち遠志と為し、出づれば則ち小草と為す〉と。謝、甚だ愧色有り。桓公、謝を目して笑って曰く、〈郝参軍の此の過は乃ち悪しからず。亦た極めて会する有り〉と」と(『太平御覧』989所引をも参照)
 
文中、処は、イトヒメハギの根が地中にあること、また謝安が東山に隠棲していること、出は、イトヒメハギの苗が地上にあること、また謝安が出仕して世に出ること。 
 これより、遠き志を持つ者の自謙の称として、小草という。
 「小草 浪して山を出で、大隠 乃ち市に居す」
(陳与義「同叔易于観我斎分韻得自字」)
 「小草 遠志を懐くを妨げず、芳蘭 誰が為にか幽妍を発す」
(元好問「春日半山亭游眺」)

跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
セイヨウオダマキ タカサゴユリ マリアあざみ ヤグルマギク センダングサ 跡見群芳譜トップ 外来植物譜index