辨 |
オウレン Coptis japonica(日本黃連) には、葉の形により次の三変種を区別する。
キクバオウレン var. anemonifolia 根生葉は1回3出複葉 北海道(道南)・本州(兵庫以東)産
セリバオウレン var. major(C.japonica var.dissecta) 根生葉は2回3出複葉 本州・四国産
コセリバオウレン var. japonica 根生葉は3~4回3出複葉 本州・四国産
|
オウレン属 Coptis(黃連 huánglián 屬)には、北半球に約15種がある。
トウオウレン(シナオウレン) C. chinensis (黃連・味連)
陝西・兩湖・四川・貴州産 『中国本草図録』Ⅵ/2588
『中薬志Ⅰ』pp.457-464 『全国中草葯匯編』上/757-759
var. brevisepala (土黃連・短萼黃連)
安徽・浙江・福建・兩廣産
C. deltoidea (三角葉黃連・雅連・峨眉連) 四川産 『中国本草図録』Ⅵ/2589
オウレン C. japonica(日本黃連) 葉の形により次の三変種を区別する
キタヤマオウレン C. kitayamensis 福井・岐阜・滋賀・京都に産
ウスギオウレン C. lutescens 本州中部産
ヒュウガオウレン C. minamitaniana 宮崎・鹿児島産
ミンゲツオウレン C. morii(眠月黃連) 臺灣産
C. omeiensis (C.chinensis var.omeiensis;峨嵋野連・鳳尾連・岩黃連)
四川産 『中薬志Ⅰ』pp.457-464、『中国本草図録』Ⅵ/2590
バイカオウレン(ゴカヨウオウレン) C. quinquefolia(五葉黃連)
C. quinquesecta(五裂黃連) 雲南産
オオゴカヨウオウレン C. ramosa(C.quinquefolia var.ramosa, C.quinquefolia
var.pedatoquintuefolia) 屋久島産
C. teeta(C.teetoides;雲南黃連) 雲南・チベット産
C. teetoides(C.teeta;雲南黃連・雲連) 雲南産 『中薬志Ⅰ』pp.457-464
ミツバオウレン C. trifolia(三葉黃連)
ミツバノバイカオウレン C. trifoliolata 本州(中部・北部の日本海側)産
|
キンポウゲ科 Ranunculaceae(毛茛 máogèn 科)の植物については、キンポウゲ科を見よ。 |
訓 |
漢名黃連は、「其の根 珠を連ね、色は黃、故に名づく」と(李時珍『本草綱目』)。 |
和名オウレンは 黄連の音読み。ただし、漢名を黃連(コウレン,huánglián)というものはシナオウレン C. chinensis。 |
『本草和名』及び『倭名類聚抄』黄連に、「和名加久末久佐」と。
『延喜式』黄連に、「カクマクサ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』9 に、「ヤマクサ延喜式 カクマクサ和名鈔 今ハ通名」と。
今日のカクマ・カグマについては、リョウメンシダを見よ。 |
属名は、ギリシア語の「切る koptein」により、葉が細かく切れ込むことから。 |
説 |
本州・四国の山地に、稀に自生する。
主にセリバオウレンが、薬用に栽培されている。 |
誌 |
中国では、トウオウレン及び近縁植物の根茎を黃連(コウレン,huánglián)と呼び、薬用にする(〇印は正品)。 『全国中草葯匯編』上/757-759
〇トウオウレン(シナオウレン) C. chinensis (黃連・味連)
var. brevisepala (土黃連・短萼黃連)
C. deltoidea (三角葉黃連・雅連・峨眉家連)
C. omeiensis (C.chinensis var.omeiensis;峨嵋野連・鳳尾連・岩黃連)
C. quinquesecta(五裂黃連)
C. teeta(C.teetoides;雲南黃連・雲連)
日本では、生薬オウレン(黄連)は オウレン、トウオウレン、Coptis deltoidea 又は Coptis teeta の、根をほとんど除いた根茎である(第十八改正日本薬局方)。 |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「黄蓮 初。花白、小りん。葉もこまかなり。根ハ薬のわうれん也」と。 |