辨 |
タンポポ属 Taraxacum(蒲公英 púgōngyīng 屬)には、世界に約100-2000種がある。
シロバナタンポポ T. albidum
ミヤマタンポポ T. alpicola(T.alpicola var.shiroumense, Y.yatsugatakense)
本州中部産
T. apargiiforme(天全蒲公英)
T. brassicaefolium(芥葉蒲公英・薺葉蒲公英)
河北・内蒙古・遼寧・吉林・黑龍江産 『中国本草図録』Ⅴ/2381
T. brevirostre(短喙蒲公英) 『中国本草図録』Ⅷ/3916
甘肅・青海・チベット・モンゴル・西&中央アジア産
T. calanthodium(大頭蒲公英) 陝甘・青海・四川産 『中国本草図録』Ⅷ/3917
ケンサキタンポポ T. ceratolepis
カンチヒメタンポポ T. ceratophorum(角状蒲公英)
ケイリンシロタンポポ T. coreanum(T.pseudoalbidum;朝鮮蒲公英・白花蒲公英)
本州(中国)・九州・対馬・朝鮮・ロシア沿海地方・遼寧・吉林・黑龍江・河北産
『中国本草図録』Ⅵ/2914
オクウスギタンポポ T. denudatum
ヤマザトタンポポ var. arakii(T.arakii)
T. dissectum(多裂蒲公英)
アツバタンポポ T. erythropodium(紅梗蒲公英)
『中国本草図録』Ⅵ/2913・『中薬志Ⅲ』図172
タカサゴタンポポ T. formosanum 臺灣産
イワタンポポ T. hallaisanense
T. heterolepis(T.multisectum;異苞蒲公英)
キビシロタンポポ T. hideoi 本州・四国産
カンサイタンポポ T. japonicum(日本蒲公英)
ミヤコタンポポ T. junpeianum
ケトイタンポポ T. ketoiense
ツクシタンポポ T. kiushianum 四国・九州産
コタンポポ T. kojimae
ゴムタンポポ T. kok-saghyz(橡膠草・橡膠蒲公英) ゴム植物 中亞・新疆・モンゴル産
クザカイタンポポ T. kuzakaiense
アカミタンポポ T. laevigatum(E.Red-seeded dandelion) 外来帰化種
アカジクタンポポ T. lambrolepis(光苞蒲公英) 遼寧・吉林・黑龍江・内蒙古産
ヨゴレタンポポ T. latifolium(T.variegatum)
T. leucanthum(白花蒲公英・戟片蒲公英・亞洲蒲公英) 『週刊朝日百科 植物の世界』1-206
モンゴル・シベリア・中央アジア産
T. lugubre(川甘蒲公英) 甘肅・青海・四川・チベット産 『中国本草図録』Ⅷ/3918
オキタンポポ T. maruyamanum(T.platycarpum subsp.maruyamanum) 隠岐産
T. maurocarpum(灰果蒲公英・川藏蒲公英) 青海・四川・チベット産 『中国本草図録』Ⅷ/3919
モウコタンポポ T. mongolicum(蒲公英・婆婆叮・黃花苗;E.Mongolian dandelion)
『中国本草図録』Ⅳ/1898・『中国雑草原色図鑑』273・『中薬志Ⅲ』図168
本州(中国)・九州・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・陝甘・青海・華東・臺灣・兩湖・廣東・
・四川・貴州・雲南・モンゴリア・極東ロシア・シベリア産
ミズナタンポポ T. multisectum(T.heterolepis;異苞蒲公英)『中薬志Ⅲ』図170
遼寧・吉林・黑龍江・モンゴリア・ウスリー・アムール産
セイヨウタンポポ T. officinale(藥用蒲公英;E.Common dandelion) 歐洲産
オオヒラタンポポ T. ohirense 北海道産
オダサムタンポポ T. otagirianum
クシバタンポポ T. pectinatum 本州(近畿・中国)・四国産
アライトタンポポ T. perlatesens
T. platycarpum
セイタカタンポポ var. elatum(T.elatum) 福井・滋賀・岐阜・愛知産
シナノタンポポ subsp. hondoense(T.venustum subsp.hondoense, T.hondoense)
栃木・群馬・長野・山梨産
トウカイタンポポ var. longeappensiculatum(T.longeappensiculatum)
房総半島南部~紀伊半島東部に産
カントウタンポポ var. platycarpum(T.sendaicum) 関東・中部産
ネッカタンポポ T. platypecidum(白緣蒲公英・河北蒲公英・熱河蒲公英)
『中国本草図録』Ⅳ/1900・『中国雑草原色図鑑』273・『中薬志Ⅲ』図171
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・湖北・四川・陝西・内蒙古・樺太産
var. lutescens(淡黄花蒲公英)
T. pubescens(T.baicalense, T.dissectum;多裂蒲公英)
カラフトタンポポ T. sachalinense
アジアタンポポ T. scariosum(T.asiaticum, T.falcilobum;
深裂蒲公英・亞洲蒲公英・興安蒲公英)『中国本草図録』Ⅴ/2380X/4899
遼寧・吉林・黑龍江・華北・陝甘・青海・湖北・四川・モンゴリア・シベリア・中亞産
シコタンタンポポ T. shikotanense 北海道・千島産
T. sikkimense(錫金蒲公英) 青海・四川・雲南・チベット・ヒマラヤ産『中国本草図録』Ⅷ/3920
シナタンポポ T. sinicum(華蒲公英・鹼地蒲公英)
『中国本草図録』Ⅳ/190・『中薬志Ⅲ』図169
T. sinomonbolicum(T.cuspidatum;凸尖蒲公英)
T. tibetanum(西藏蒲公英) 青海・四川・雲南・チベット・ヒマラヤ産『中国本草図録』Ⅷ/3921
トガクシタンポポ T. togakushiense
コウライタンポポ T. ussuriense(T.ohwianum;東北蒲公英) 『中国本草図録』Ⅳ/1899
朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・モンゴル・ウスリー・アムール産
キツネタンポポ T. variabile(T.platycarpum var.variabile)
エゾタンポポ T. venustum(T.shinanense)
クモマタンポポ T. yesoalpinum 北海道産
タカネタンポポ(ユウバリタンポポ) T. yuparense 北海道産
オオタカネタンポポ var.grandisquamatum
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キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。 |
訓 |
和名タンポポは、江戸時代(『閲圃食物本草』寛文11)から用いられたものだが、その語源については諸説があり、一定しない。 |
『本草和名』蒲公英に、「和名布知奈、一名多奈」と。
『倭名類聚抄』蒲公草に、「和名不知奈、一云太奈」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』蒲公英に、「フチナ和名鈔 タナ同上、古名 タンポポ グヂナ信州 ムヂナ勢州 グチナ奥州 グチグチナ佐州 ゴヤジ同上 ツゞミグサ越中」と。 |
学名の属名は、アラビア語の「苦い菜」tharakhchakon に由来するという。 |
ヨーロッパ名については、セイヨウタンポポを見よ。 |
説 |
カントウタンポポは、茨城・埼玉・東京・千葉・神奈川・静岡・愛知・三重に分布。
花期は4-5月。 |
誌 |
中国では、タンポポ属 Taraxacum の幾つかの植物の全草を蒲公英(ホコウエイ,púgōngyīng)と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.225-236 『(修訂) 中葯志』IV/697-713 『全国中草葯匯編』上/871-873
T. apargiiforme(天全蒲公英)
〇T. brassicaefolium(芥葉蒲公英・薺葉蒲公英)
〇T. calanthodium(大頭蒲公英・麗花蒲公英)
カンチヒメタンポポ T. ceratophorum(角状蒲公英)
ケイリンシロタンポポ T. coreanum(T.pseudoalbidum;朝鮮蒲公英・白花蒲公英)
T. dissectum(多裂蒲公英)
〇アツバタンポポ T. erythropodium(紅梗蒲公英)
〇T. heterolepis(T.multisectum;異苞蒲公英)
◎モウコタンポポ T. mongolicum(蒲公英・婆婆叮・黃花苗)
〇ネッカタンポポ T. platypecidum(白緣蒲公英・河北蒲公英・高山蒲公英)
T. pubescens(T.baicalense, T.dissectum;多裂蒲公英)
アジアタンポポ T. scariosum(T.asiaticum;深裂蒲公英・亞洲蒲公英)
〇シナタンポポ T. sinicum(華蒲公英・鹼地蒲公英)
T. sinomongolicum(T.cuspidatum;凸尖蒲公英)
T. tibetanum(西藏蒲公英)
コウライタンポポ T. ussuriense(T.ohwianum;東北蒲公英)
なお、華南ではウスベニニガナ Emilia sonchifolia(一點紅・紅背葉・羊蹄草・葉下紅)及びミスミグサ Elephantopus scaber(地膽草)キク科 を、雲南では Picris divaricata(滇苦菜・雲南毛連菜)を、それぞれ土公英として薬用にする。 |
○ 遼・作者不詳「竹雀双兎図」軸 (遼寧省葉茂台第7号遼墓(959-986)出土、瀋陽/遼寧省博物館蔵) |
『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「つゞみ花 初。花黄色にてせんやう。野原ニあり」と。 |
「味少し苦甘く料理に用ゆる時、葉をとりて茹(ゆび)き、ひたし物、あへ物、汁などに料理してよし。是を食すれば大用の秘結をよく治するなり」(宮崎安貞『農業全書』1697)。 |