かなむぐら (鉄葎) 

学名  Humulus japonicus (=H. scandens)
日本名  カナムグラ 
科名(日本名)  アサ科、あるいはクワ科
  日本語別名  クワムグラ、ハナムグラ、ムグラ
漢名  葎草(リツソウ,lücao) 
科名(漢名)  大麻(タイマ,dama)科、あるいは桑(ソウ,sang)科 
  漢語別名  拉拉秧・拉拉藤、五爪龍・大葉五爪龍、■{竹冠に勒}草、拉狗蛋、割人藤、苦瓜草・山苦瓜
英名  Japanese hop
雄株 2006/09/23 国分寺市恋ヶ窪

雌株   2008/10/09 入間市宮寺
 カラハナソウ属 Humulus(葎草屬)については、カラハナソウを見よ。
 和名のカナは金(鉄)の意で、茎が強いことから。
 深江輔仁『本草和名』(ca.918)葎草及び源順『倭名類聚抄』(ca.934)葎草に、「和名毛久良」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』14下(1806)葎草に、「カナムグラ
転ジテカナモグラト云 ナゝモグラ スイジンノテ佐州 ウマコカシ播州」と。
 日本(北海道・本州・四国・九州・奄美大島)・朝鮮・中国(新疆・靑海・西藏以外の全国)・臺灣に分布。
 全草を乾燥して薬用にする。
 日本では古くから、人手を離れた廃園にはびこる雑草としてむぐら(葎)・やえむぐら(八重葎)が、荒涼とした風景の小道具として用いられている。

 早くも『万葉集』に、

   むぐらはふ いや
(賎)しき屋戸も
     大皇
(おほきみ)の 座(ま)さむと知らば 玉しかましを
      
(19/4270,橘諸兄。752年、孝謙天皇が橘諸兄宅で宴を催したときの歌)
   いかならむ 時にか妹を むぐらふ
(葎生)の 穢(きたな)き屋戸に 入り座(いま)せなむ
      
(4/759,田村大嬢)
   念
(おも)ふ人 来むと知りせば やへむぐら 覆へる庭に 珠布(し)かましを
   玉敷ける 家も何せむ やへむぐら 覆へる小屋も 妹とし居らば
      
(11/2824;2825,読人知らず)

 しかしこの八重葎は、幾重にも重なり繁った葎を言うもので、植物としてはカナムグラであった
(つまり植物としてはヤエムグラではない)という。 
 『八代集』に、

   今さらに とふべき人も おもほへず やへむぐらして かどさせりてへ
     
(よみ人しらず、『古今和歌集』)
   八重むぐら こゝろのうちに ふかければ 花見にゆかん いでたちもせず
     
(紀貫之,『後撰和歌集』)
   八重葎 しげれる宿の さびしきに 人こそ見えね 秋は来にけり
     
(恵慶法師,『拾遺和歌集』『小倉百人一首』)
   たへてやは 思ひありとも いかがせん むぐらの宿の 秋の夕ぐれ
     
(藤原雅経,『新古今和歌集』)
   やへむぐら しげれる宿は 人もなし まばらに月の かげぞすみける
     
(大江匡房,『新古今和歌集』)

 『伊勢物語』に、

   思あらば 葎の宿に 寝もしなん ひじきものには 袖をしつつも (3段)
      (「懸想じける女のもとにひじきもといふ物をやるとて」)
   葎生ひて 荒れたる宿の うれたきは かりにも鬼の すだくなりけり (58段)

 西行(1118-1190)『山家集』に、

   立よりて となりとふべき かきにそひて ひまなくはへる やへむぐら哉
     (さがにすみけるころ、となりの坊に申べきことありてまかりけるに、
       みちもなくむぐらのしげりければ)
   しも(霜)うづむ むぐらがしたの きりぎりす あるかなきかの こゑきこゆなり
   むぐらは(這)ふ かどはこのはに うづもれて 人もさしこぬ 大原の里 (寂然)
 

   山賎
(やまがつ)のおとがい閉(とづ)るむぐらかな (芭蕉,1644-1694)
   いも植て門
(かど)は葎(むぐら)のわか葉哉 (同)
   むぐらさへ若葉はやさし破家 (同)
   さしこもる葎の友かふゆなうり(冬菜売) (同)
 

跡見群芳譜 Top ↑Page Top
Copyright (C) 2006- SHIMADA Hidemasa.  All Rights reserved.
クサコアカソウ シュロソウ スハマソウ イワチドリ チダケサシ 跡見群芳譜トップ 野草譜index