辨 |
「葉が細く裂け、薄いものをセリバシュンギク、厚葉で、へら型できざみの浅いものをオタフクまたは琉球春菊 var. spatiosum という」(東大農園)。 |
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シュンギク属 Glebionis(茼蒿 tónghāo 屬)には、歐洲・カフカス・北アフリカ・西&中央アジアに2種がある。
シュンギク G. coronaria(Chrysanthemum coronarium, Xanthophthalmum coronarium,
C.roxburghii; 歐茼蒿;E.Crown daisy)
セリバシュンギク var. spatiosa(茼蒿;E.Garland chrysanthemum)
アラゲシュンギク G. segetum(Xanthophthalmum segetum, Chrysnthemum segetum;
南茼蒿;E.Corn marigold) 地中海地方・北歐・東歐・小アジア・アラビア産
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キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。 |
訓 |
「春時嫩苗ヲ食スルニヨリ春菊ノ和名アリ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
『大和本草』に、「茼蒿{シユンキク} ・・・逐レ時實ヲマケハ常ニ苗アリ、故國俗無盡草ト云」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』22(1806)茼蒿に、「シユンキク カウライギク京 ムジンサウ雲州 フダンギク勢州 キクナデシコ ルスン倶ニ同上 フダサウ肥後 ロウマ長州 ロウマギク防州 ツマジロ加州 サツマギク濃州 リウキウギク讃州 ヲランダギク阿州 ノビスマ伊州 シユンギク東国 シンギク越前」と。 |
説 |
地中海地方・アラビア・西&中央アジアに分布。
「母種ハ觀賞ノ爲メ園中ニ栽培ス、之レヲはなしゅんぎくト稱ス、しゅんぎくニ比スレバ稍小ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。
地中海地方では、花を観賞するために栽培され、八重化したハナゾノシュンギクがある。
中国・日本では蔬菜として食用にし、日本に入ったのは17世紀以前。
今日の中国では観賞用に栽培し、河北・山東では野生化。 |
誌 |
「倭俗かうらい菊とも云ふ。・・・苗の時ひたし物あへ物となして味よし。冬春たびたびにつくり用ゆべし。花も又見るにたへたり」(宮崎安貞『農業全書』1697)。
本山荻舟『飲食事典』(1958)に、「食用には茎立たない嫩葉を採取し、鍋料理の配い、汁の青味として香味を喜ばれ、ゆでて和え物にも浸し物にも供する。・・・日本へは戦国時代に明国から渡来したらしく、主として関西地方で重用されたが、近年東京にも愛好者がふえた」と。
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『花壇地錦抄』(1695)巻四・五「草花 春之部」に、「春菊 中末。 花形きくのごとく、ひとへにて、花中ハ金色、まわりしろし」と。 |