ふき (蕗) 

学名  Petasites japonicus (Nardosmia japonica)
日本名  フキ 
科名(日本名)  キク科 
  日本語別名  
漢名  蜂斗菜(ホウトウサイ, fēngdŏucài)
科名(漢名)  菊(キク,jú)科
  漢語別名  苳(トウ,dōng)、款冬(カントウ,kuăndōng)、蛇頭草、網絲皮、水鐘流頭
英名  Japanese butterbur
2007/12/25 薬用植物園
2006/03/08 学内 2006/03/15 同左

雌株 (縁に雌花、中央に両性花)
            2006/03/20 小平市
雄株 (すべて不稔の両性花)
            2007/03/07 小平市

2021/03/24 小平市玉川上水緑地

2007/03/22 小平市

2005/04/22 三芳町竹間沢

 フキ属 Petasites(蜂斗菜 fēngdŏucài 屬)には、北半球の温帯に18-19種がある。

  P. formosasus(臺灣蜂斗菜)
臺灣産
  P. japonicus
    フキ var. japonicus(蜂斗菜)
      フイリブキ 'Variegatus'
    アキタブキ
(エゾブキ) var. giganteus(P.giganteus)
         
北海道・本州岩手以北・千島・樺太・朝鮮産
  ニオイカントウ P. pyrenaicus(P.fragrans) 地中海地方原産、日本には昭和初期に観賞用に渡来
  P. tricholobus(毛裂蜂斗菜)
山西・陝甘・青海・西南・チベット産 
   
 キク科 Asteraceae(菊 jú 科)の植物については、キク科を見よ。  
 葉柄をふき、花茎をふきのとう(薹)と呼ぶ。
 『本草和名』蕗に、「和名布々岐」と。
 『倭名類聚抄』に、蕗は「和名布々木」、款冬は「和名夜末不々木、一云夜末不木」、蕺は「布木」と。 
 『大和本草』に、「款冬{フキ}」と。
 小野蘭山『本草綱目啓蒙』に、「フキノトウ フキノヂイ
河州 フキノシウトメ和州 バツカイ南部松前 バシカイ南部」と。
 日本では、フキの漢字としてしばしば款冬を当てるが、誤り。款冬(カントウ,kuăndōng)は フキタンポポである。
 『植物學大辭典』
(1918、商務印書館)はフキを款冬とする。日本語の輸入であろうか。
 属名は、ギリシア語「日除け帽子」から。
 本州(岩手以南)・四国・九州・琉球・朝鮮・華東・山東・湖北・陝西・四川・ロシア沿海地方に分布。
 雌雄異株。
 日本では古い蔬菜、花序・花茎・葉柄を食う。
 栽培品種に愛知早生フキ
(三倍体)・秋田フキ・水フキの三がある。商品として流通するフキの9割を占めるのは愛知早生フキ、ただし雄株のみ。
 中国では、全草・根状の茎を薬用にする。 『全国中草葯匯編』上/878  
 『新撰字鏡』(ca.901)に初見、『延喜式』(927)には蔬菜として載る。
 アキタブキの栽培は、19世紀中葉から。愛知早生フキは、明治中葉に見出されて 全国に広がった。
 フキの砂糖漬けは、明治12年に秋田で始められた。

   (ふき)の葉に丁寧にあつめし骨くづもみな骨瓶(こつがめ)に入れしまひけり
     (斎藤茂吉「死にたまふ母」(1913)より。『赤光』所収)
   十尺
(とさか)よりも秀でておふる蕗のむれに山がはのみづの荒れてくる見ゆ
     
(これはアキタブキであろう。1932志文内,斎藤茂吉『石泉』)
   まぼろしに現
(うつつ)まじはり蕗の(たう)萌ゆべくなりぬ狭き庭のうへ
   枯れ伏しし蕗にまぢかき虎耳草(ゆきのした)ひかりを浴みて冬越えむとす
     
(1937「庭前」,齋藤茂吉『寒雲』)
 

フイリブキ 'Variegatus'
2023/05/10 小石川植物園 
アキタブキ var. giganteus 
2009/04/20 福島市飯坂町平野 医王寺
2008/07/18 北大植物園

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