辨 |
Anemone hupehensis(打破碗花花,ダハワンカカ,dăpòwănhuāhuā・野棉花・湖北秋牡丹)は、花(瓣ではなく萼)が一重、萼片は5枚、色は紅紫色。陝西・兩湖・廣西・四川・貴州・雲南に分布。
その白花品は f. alba。
シュウメイギク Anemone hupehensis var. japonica は、その重瓣品。中国で作られ、長江以南で栽培され、しばしば逸出して野生化している。萼片は約20-30枚(花瓣は無い)、色は紅紫色。 |
イチリンソウ属 Anemone(銀蓮花 yínliánhuā 屬)の植物については、イチリンソウ属を見よ。 |
訓 |
「和名しうめいぎくハ或ハ秋明菊乎、而シテ秋ニ開キテ朗カニ見ユル意乎、貴船菊ハ山城貴船山ニ多ク生ズルヨリ云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。 |
『大和本草』秋牡丹に、「近世異國ヨリモ來レルニヤ、和名タウギク、又ハカウライギクト云、順和名ニモノセス、サレトモ鞍馬貴布禰キブネ)摂州箕面(ミノヲ)又西州諸山ニアリ、本邦ニ昔ヨリ有レ之草ナルヘシ」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』11(1806)漏蘆の条に、「沂州漏盧ハ即牡丹葉漏盧ナリ。秘伝花鏡ニハ秋牡丹 一名秋芍薬ト云。和名キブネギク京師 カウライギク讃州 八朔牡丹長州 アキ牡丹相州 カハギク紀州 カゞギク泉州 トウギク大和本草 紫衣ギク三才図会 ハマギク常州 シマギク越後 ムメウサウ南部 サツマギク濃州 カブラギク加州小松 カブロギク勢州山田 シウメイギク同上久井 クハンノンギク播州林田 ランギク同上立野 カラギク越前 クサボタン江州 …城州ニハ貴船山中ニ自生多シ。故ニキブネギクト云」と。 |
説 |
シュウメイギクは、日本の北海道(道南)・本州(青森県以外)・四国・九州に野生している。ただし、室町時代に中国から渡来したものが、逸出帰化したものと考えられている。 |
誌 |
中国では、Anemone hupehensis(打破碗花花・野棉花・湖北秋牡丹)の根・茎・葉或は全草を打破碗花花(ダハワンカカ,dăpòwănhuāhuā)と呼び薬用にする。またシュウメイギク A.hupehensis var.japonica;秋牡丹)・A.tomentosa;大火草・大頭翁)も同様に用いる。 『全國中草藥匯編
上』pp.233-234 『(修訂) 中葯志』IV/264-267 |