どうかんそう (道灌草)
学名 |
Gypsophila vaccaria (Vaccaria pyramidata, V.segetalis, V.hispanica, Saponaria
vaccaria) |
日本名 |
ドウカンソウ |
科名(日本名) |
ナデシコ科 |
日本語別名 |
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漢名 |
麥藍菜(バクランサイ,màiláncài) |
科名(漢名) |
石竹(セキチク,shízhú)科 |
漢語別名 |
王不留行(オウフリュウコウ,wángbùliúxíng,おうふるぎょう)、麥蘭菜・麥加菜、王牧牛・大麥牛、兔兒草 |
英名 |
Cow herb, Cockle |
『中国本草図録』Ⅵ/2572・『中国雑草原色図鑑』58・『週刊朝日百科 植物の世界』7-235参照。 |
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辨 |
カスミソウ属 Gypsophila(石頭花 shítóuhuā 屬)については、カスミソウ属を見よ。 |
訓 |
漢名王不留行は、李時珍『本草綱目』に「性、走りて住(とどま)らず。王命有りと雖も其の行くを留むる能わず、故に名づく」と。 |
『本草和名』王不留行に、「和名須々久佐、一名加佐久佐」と。
『延喜式』王不留行に、「カサクサ、ススクサ」と。
『倭名類聚抄』王不留行に、「和名加佐久佐」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』12(1806)王不留行に、「スゞグサ延喜式 道灌草古ヘ道灌山に漢種ヲ栽シコトアリ。故ニ此名アリ」と。 |
和名は、江戸の道灌山の薬園に植えたことから。 |
かつてサボンソウ属 Saponaria に分類していたことから、園芸的にはサポナリアと呼ぶ。 |
説 |
広くユーラシア温帯に分布。
(インド・ヒマラヤ・西アジア・北アフリカ・ヨーロッパ原産ともいう)。 |
誌 |
本種の種子を王不留行(オウフリュウコウ,wángbùliúxíng,おうふるぎょう)と呼び、薬用にする。『(修訂) 中葯志』III/204-207
『中薬志Ⅱ』pp.61-65・『全國中草藥匯編 上』pp.167-168 によれば、正品以外に、王不留行として次のようなものを用いる。
スズメノエンドウ Vicia hirsuta(小巣菜・硬毛果野豌豆・雀野豆)
カスマグサ Vicia tetrasperma(四籽野豌豆・烏喙豆)
オオカラスノエンドウ(オオヤハズエンドウ) Vicia sativa(救荒野豌豆・大巣菜・
野綠豆・野菜豆・野苕子;E.Common vetch)
『中国本草図録』Ⅵ/2693・『中国雑草原色図鑑』119
カラスノエンドウ (ヤハズエンドウ) Vicia angustifolia(窄葉野豌豆・大巣菜・
野綠豆;E.Narrowleaved vetch)『中国雑草原色図鑑』119
トモエソウ Hypericum ascyron (黄海棠・湖南連翹・紅旱蓮・金絲蝴蝶・
劉奇奴) 『雲南の植物Ⅱ』102・『中国雑草原色図鑑』137
ヒメオトギリ Hypericum japonicum (地耳草・田基黄(王)・黄花草)
『中国本草図録』Ⅳ/1748・『中国雑草原色図鑑』137
ツキヌキオトギリ Hypericum sampsoni (元寶草・對月蓮・合掌草・上天梯・
帆船草・穿心草・劉奇奴) 『中国本草図録』Ⅵ/2723
ノボタン Melastoma candidum(野牡丹)
キンゴジカ Sida rhombifolia(白背黃花稔) 臺灣・福建・兩廣・四川・貴州・雲南産
Sida szechuensis(拔毒散・小粘藥) 廣西・四川・貴州・雲南産
オオイタビ Ficus pumila(薜荔・絡石藤・石龍藤・涼粉樹・木蓮・水饅頭)
『中国本草図録』Ⅳ/1586
Urena lobata(地桃花)
また『中薬志Ⅱ』によれば、歴史的には、『證類本草』が載せる河中府王不留行は、おそらく
ヒメケフシグロ(コフシグロ) Silene aprica(Melandryum apricum;女婁菜・罐罐花)
『中国本草図録』Ⅷ/3543・『中国雑草原色図鑑』55
の類であろうという。 |
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