辨 |
ヤマモモ科 Myricaceae(楊梅 yángméi 科)には、3-4属 約50-60種がある。
ヤマモモ属 Morella(楊梅 yángméi 屬) 世界の熱帯~温帯に約50-60種
コウシュンヤマモモ M. adenophora(Myrica adenophora;
靑楊梅・靑梅・恒春楊梅) 臺灣・両広産
シロコヤマモモ M. cerifera(Myrica cerifera) 北米東部産
M. esculenta(毛楊梅) 兩廣・西南・インドシナ産
ヒメヤマモモ M. nana(Myrica nana;雲南楊梅・矮楊梅) 雲南・貴州産
ヤマモモ M. rubra(Myrica rubra;楊梅・珠紅・樹梅・根梅)
シロヤマモモ f. alba 果実が白い
ヤチヤナギ属 Myrica(香楊梅 xiāngyángméi 屬) 北半球の亜寒帯・寒帯に1-数種
M. gale
セイヨウヤチヤナギ var. gale(Gale belgica var.belgica)
ヨーロッパ・北アメリカ産
ヤチヤナギ var. tomentosa(M.tomentoa, Gale belgica var.tomentosa)
周北極の亜寒帯産(シベリアを除く)
|
訓 |
『本草和名』山桜桃に、「和名也末毛々」と。
『倭名類聚抄』楊梅に、「和名夜末毛々」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』楊梅に、「ヤマモゝ」と。 |
説 |
本州(房総以西)・四国・九州・済州島・臺灣・フィリピンに分布。
果樹として栽培し、多くの品種がある。 |
誌 |
果実は食用にし、樹皮から染料を採る。 |
中国では、根・樹皮・果実を薬用にする。また、Morella esculenta(毛楊梅)・ヒメヤマモモ M.nana(雲南楊梅)も同様に用いる。『全國中草藥匯編 上』pp.416-417 |
呉末晋初(3c.)の沈瑩『臨海水土異物志』に、「楊梅 其の子、弾丸の如く、正赤にして、五月中に熟す。熟す時、梅に似て、味甘甜にして酸」と(『太平御覧』972引。嵆含『南方草木状』同。)。 |
西行(1118-1190)『山家集』百首に、
野辺の色も 春のにほひも おしなべて 心そめける さとりにぞなる
(楊梅の春の匂 遍吉の功徳なり、紫蘭の秋の色は普賢菩薩の真相なり)
|
『花壇地錦抄』(1695)巻二「桃のるひ」に、「楊梅(やまもゝ) もゝのるひニハあらす。実むらさきいろ」と。 |