やどりぎ (宿木) 

学名  Viscum album var. coloratum (V. coloratum)
日本名  ヤドリギ
科名(日本名)  ビャクダン科
  日本語別名  ホヤ、トビヅタ
漢名  槲寄生(コクキセイ,hújìshēng)
科名(漢名)  檀香(タンコウ,tánxiāng)科
  漢語別名  寄生子(キセイシ,jishengzi)、北寄生(ホクキセイ,beijisheng)、冬靑、凍靑、桑寄生
英名  
2016/05/02 長野県蓼科山(女神湖) 

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2010/05/03 群馬県浅間高原
2010/05/03 群馬県浅間高原

2016/08/19 蓼科山(女神湖) 
2016/11/03 同上 

 ヤドリギ属 Viscum(槲寄生 hújìshēng 屬)には、旧世界に約100-130種がある。

  V. album
    セイヨウヤドリギ(オウシュウヤドリギ) subsp. album(歐寄生;E.Common mistletoe,
         European mistletoe)
北アフリカ・歐洲・西アジア・ヒマラヤ産
    subsp. meridanum(闊葉槲寄生)
    ヤドリギ subsp. coloratum(V.coloratum;槲寄生・寄生子・北寄生・桑寄生・冬靑・凍靑)
         『中薬志Ⅲ』pp.541-545、『中国本草図録』Ⅸ/4083
      アカミヤドリギ f. rubro-aurantiacum 
  V. angulatum(稜枝槲寄生)
チベット・インド産
  V. articulatum(扁枝槲寄生・楓香寄生・蟹爪寄生・蝦脚寄生・螃蟹脚・桐樹寄生)
          
アジア・太平洋諸島・豪洲の熱帯・亜熱帯に産 『中国本草図録』Ⅴ/2052
  カキノキヤドリギ V. diospyrosicola(稜枝槲寄生) 
臺灣・河北以南に産 『雲南の植物Ⅰ』168 
  V. fargesii(綫葉槲寄生)
陝甘・青海・四川産 
  フウノキヤドリギ V. liquidambaricola(楓香槲寄生・狹葉楓寄生)
 臺灣・河北以南・越南・タイ産
  V. monoicum(五脈槲寄生)
中国~インド産 
  V. multinerve(果柄槲寄生) 中国南部・臺灣・ベトナム・タイ・ネパール産 『中国本草図録』Ⅹ/4570
  V. nudum(綠莖槲寄生)
 中国西南産 『雲南の植物Ⅱ』165
  V. orientale(瘦果槲寄生)
ヒマラヤ・インド・アフガニスタン産
  V. ovalifolium(瘤果槲寄生)
 中国南部・東南アジア・豪洲産 
   
 ビャクダン科 Santalaceae(檀香 tánxiāng 科)については、ビャクダン科を見よ。
 「和名ハ寄生木卽チ宿り木ノ意ニシテ他樹ニ寄宿シ生活スルヲ云フ、ほやノ意未詳、飛びづたハ之レヲつたニ擬シ而シテ樹ヨリ樹ニ移リテ生ズルヨリ斯ク云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。
 『延喜式』寄生に、「ヤトリキ」と。
 『倭名類聚抄』寄生に「和名夜止里木、一云保夜」と。
 漢名の科名となっている桑寄生というものは、Loranthus parasiticus。オオバヤドリギ L. yadorigi(柿寄生) の同属異種
 学名の Viscum は「鳥黐(とりもち)」。
 北海道・本州・四国・九州・朝鮮・華北・東北・極東ロシア・内蒙古・陝甘・寧夏・青海・華東・兩湖・廣西・四川・貴州に分布。
 エノキ・ケヤキ・ブナ・ミズナラ・クリ・サクラなどに寄生する。
 茎葉には澱粉を含み、救荒食。茎葉や果実の粘液から、鳥黐(とりもち)を作る。
 中国では、ヤドリギなどの枝葉を寄生(キセイ,jìshēng)と呼び薬用にする(〇印は正品)。『中薬志Ⅲ』pp.541-545 『(修訂) 中葯志』V/711-727 『全国中草葯匯編』上/913-914 

  〇ヤドリギ Viscum album subsp. coloratum(V.coloratum;槲寄生・北寄生・冬靑)
   Viscum articulatum(扁枝槲寄生・楓香寄生)
   Viscum orientale(瘦果槲寄生)
   Taxillus chinensis(T.edpititatus, Loranthus chinensis;廣寄生)
   Taxillus parasitica(Loranthus parasiticus;紅花寄生・桑寄生)
   シャクナゲヤドリギ Taxillus sutchuenensis(Loranthus sutchuenensis;川桑寄生)
   オオバヤドリギ Taxillus yadoriki(Loranthus yadoriki;日本鈍果寄生・毛葉桑寄生)

 なお、ヤドリギなどを槲寄生
(『全国中草葯匯編』上/913-914)と呼び、オオバヤドリギなどを桑寄生(『全国中草葯匯編』上/679-680)と呼ぶ。
 日本では、『万葉集』に、

   あしひきの やま
(山)のこぬれ(木末)の ほよとりて
     かざ
(挿頭)しつらくは ちとせ(千年)(寿)くとそ (18/4136,大伴家持)

と詠われるほよは、ホヤの転訛、ヤドリギであるという。
 ヨーロッパでは、ケルト人がセイヨウヤドリギを神聖視した。宿主が落葉した後も、これは緑を保つからとされる。彼らは、冬至の日にこれを祭壇に捧げるなどしたが、この習慣はキリスト教のクリスマスに引き継がれ、欧米では、クリスマスにセイヨウヤドリギの小枝を戸口に飾る。男性は、この下に居る女性にはキスをすることが許され、the kissing under the mistletoe の語がある。 

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