辨 |
トベラ科 Pittosporaceae(海桐 hăitóng 科)には、世界には南半球を中心に約7属 約200-250種がある。 東アジアには次の1属がある。
トベラ属 Pittosporum(海桐屬)
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トベラ属 Pittosporum(海桐 hăitóng 屬)には、旧世界・太平洋・オーストラレシアの熱帯・亜熱帯に約200種がある。
ハハジマトベラ P. beecheyi(P.parvifolium var.beecheyi) 小笠原産
シロトベラ P. boninense 小笠原産
P. brevicalyx (短萼海桐) 江西・兩湖・兩廣・貴州・雲南産
オオミノトベラ P. chichijimense(P.boninense var.chichijimense)
小笠原産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020)
ヤドリオオバトベラ P. daphniphylloides(牛耳楓葉海桐) 臺灣産
var. adaphniphylloides(P.adaphniphylloides;大葉海桐) 四川・貴州産
タイワントベラ P. formosanum(七里香) 臺灣産
P. heterophyllum (異葉海桐・細杉樹・鷄骨頭) 雲南産 『雲南の植物Ⅱ』86
P. glabratum (光葉海桐) 湖南・兩廣・貴州産
var. neriifolium (狹葉海桐・斬蛇劔) 江西・兩湖・兩廣・貴州産
コヤスノキ P. illicioides(P.sahnianum;海金子・崖花海桐・崖花子)
本州(兵庫・岡山)・臺灣・華東・兩湖・貴州産 『中国本草図録』Ⅵ/2647
O. paniculiferum(圓錐海桐・山桂花) 雲南産 『雲南の植物Ⅱ』87
コバトベラ P. parvifolium 小笠原産
P. pauciflorum(少花海桐・上山虎) 江西・兩廣産 『中国本草図録』Ⅹ/4622
P. pentandrum(五蕊海桐) フィリピン・スラウェシ産
タイワントベラ var. formosanum(P.formosanum) 臺灣・廣西・ベトナム産
var. hainanense(臺瓊海桐・臺灣海桐鼻) 臺灣・海南島・ベトナム産
クロバトベラ P. tenuifolium
トベラ P. tobira (海桐)
タカサゴトベラ var. calvescens(禿序海桐) 臺灣・福建産
P. trigonocarpum (稜果海桐・山枝仁) 貴州産 『中国本草図録』Ⅶ/3149
P. truncatum (菱葉海桐・崖花子・山子仁) 陝甘・湖北・西南産
シマトベラ P. undulatum
オニトベラ P. viburnifolium(莢蒾葉海桐) 臺灣産
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訓 |
「節分ニ之レヲ扉ニ挾ミ疫鬼ヲ避クル事アリ、故ニ和名ヲ扉の木ト云フ」(『牧野日本植物図鑑』)。
「除夕に国俗此の木の枝を扉に挟みて来年疫鬼のふせぎとす。故にとひらの木と云」(『日本国語大辞典 第二版』引『大和本草諸品図』1715)。 |
『本草和名』石南草に、「和名止比良乃岐」と。
『延喜式』石南に、「トヒラノキ」と。
『倭名類聚抄』石楠草に「和名止比良乃木、俗云佐久奈無佐」と。 |
『日葡辞書』に、Tobera。 |
属名は、ギリシア語の「樹脂 pitta」「種子 sperma」に由来、種子の表面が粘液に被われていることから。 |
説 |
本州(岩手・新潟以南)・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・江蘇・浙江・福建・廣東の海岸に分布。 公園などによく植えられる。
雌雄異株。 |
誌 |
葉・枝に悪臭があり、これを魔よけに用いた。また、誤って燃やすと悪臭が立つため、竈の神である荒神様に嫌われるとして、コウジンギライの名がある。 |
中国では、同属植物のうちコヤスノキなどの根・葉・種子を海桐樹と呼び薬用にする(〇印は正品)。 『全国中草葯匯編』上/648
〇P. glabratum (光葉海桐)
〇コヤスノキ P. illicioides(P.sahnianum;海金子・崖花海桐・崖花子)
P. truncatum (菱葉海桐・崖花子・山子仁)
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『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「とべら 葉ハしやくなんげのごとく、花ハミるかいなし」と。 |