辨 |
シュロ属 Trachycarpus(棕櫚屬)には、日本・中国・ヒマラヤに6-8種がある。
シュロ(ワジュロ) T. fortunei(椶櫚・棕櫚 zōnglǘ)
T. martianum(山棕櫚)
T. nana(龍棕)
トウジュロ T. wagnerianus T. fortunei のシノニムとする説がある
地中海地方原産のチャボトウジュロ Chamaerops humilis は別属。 |
ヤシ科 Arecaceae(Palmae;棕櫚科)については、ヤシ科を見よ。 |
訓 |
源順『倭名類聚抄』(ca.934)棕櫚に「俗云種魯」と。
小野蘭山『本草綱目啓蒙』(1806)31に、椶櫚は「スロノキ古歌 シユロ今名」と。 |
説 |
中国原産、長江以南の各地で栽培し、或は野生する。
日本では 各地で観賞用に栽培するが、南九州の一部では野生化している。 |
誌 |
中国では、葉柄(或は古い葉柄)及び鞘片の繊維を棕櫚と呼び、成熟した果実を棕櫚子と呼び、薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.298-300 |
シュロ毛は、強さはないが耐水性があり、縄・刷毛・たわし・みのなどを作り、また油の濾過に用いる。
宮崎安貞『農業全書』(1697)には、船の綱・牛馬の綱・つるべ縄・(ことに軍隊用の)わらじ・箒などを作る、と記す。
若葉をさらしたもので草履表・帽子・敷物・籠などを作る。 |
シュロ毛は、黒焼きして鼻血止めに用い、花穂は干して薬用にする。 |
棕櫚の葉の霰に狂ふあらしかな (野童,『猿蓑』1691)
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『花壇地錦抄』(1695)巻三「冬木之分」に、「椶櫚 つねのしゆろ也。春ノ中に花咲て丸キ実有」と。 |
聖書に登場する palm は、「棕櫚の日曜日 Palm Sunday」などと 棕櫚と訳すが、じつは西アジア原産のナツメヤシ Phoenix
dactylifera(漢名は椰棗 yezao、英名は datepalm)。 |